第27機甲連隊 2
C.E.70年11月下旬──
東アジア共和国の保有する資源衛生“新星”をめぐる攻防戦が最終的にザフトの勝利によって終結してから、双方ともに大きな軍事行動を起こすことがなく小競り合いを繰り返す程度になったこの頃。
オペレーション・ウロボロスの作戦目標である地球連合側の宇宙港を制圧し地球と宇宙の連合戦力の分断を図るべく、ザフトは東アジア共和国が保有する“カオシュン宇宙港”に狙いを定め、制圧作戦に向けて動き始めていた。
膨大な人的資源により地球連合でも屈指を物量を誇る東アジア共和国に勝利するべく、カオシュン攻略作戦の主戦場となる太平洋・北回帰戦線へ密かに戦力を増強するとともに、陽動と地球連合の一角であるユーラシア連邦と東アジア共和国の連携を断つことを目的とした支作戦として大規模な地上降下作戦を実施。
シベリアとモンゴルの地に降り立ったザフト軍は、ユーラシア連邦と東アジア共和国の国境が入り組むここに新たな戦線を構築し、両国の分断を図る戦闘を開始した。
作戦目標はあくまでもカオシュン宇宙港攻略のための支作戦、陽動ではあるが、東アジア共和国と戦う上でユーラシア連邦の支援の有無は非常に大きな影響を及ぼす。
極寒のベーリング海は冬となれば氷に覆われ海路の補給線が自然の猛威により分断されるため、シベリアと中央アジアに伸びる支援ルートを制圧すれば冬季間の両国を分断することができる。
カオシュン宇宙港攻略に向け、ユーラシアの支援ルートを封鎖することを目標として構築されたこの戦線にて、両軍は戦闘を開始した。
極寒のシベリア、広大なモンゴル高原やゴビ砂漠といった劣悪なインフラにより補給がままならない戦場。
シベリア鉄道を利用した補給路を確保するユーラシア連邦であったが、雪原や砂漠において猛威を振るったのがザフトの地上戦用MS“バクゥ”であった。
雪に覆われた大地も、水の干上がった大地でも、持ち前の機動力を駆使して戦うこのMSにより、戦線構築早々にシベリア鉄道を抑えられ、ユーラシア連邦軍の補給路が破壊されることとなる。
これにより孤立した各部隊に砂漠の灼熱や雪原の極寒が襲いかかり、多大な死者・行方不明者を出して大きく戦線が後退することとなり、ザフト軍のシベリア降下よりわずか1週間で両国間の支援ルートを分断されるという事態に陥った。
12月に入る頃にはザフト軍による制圧域はさらに拡大し、戦闘ではなく補給不足による被害の増大から前線の兵士たちに厭戦気分が広がり、士気は低下。
もはやこの戦線でもザフトの勝利は確実となると誰もが疑わなくなる。
だが、その戦線にある部隊が投入されたことにより圧倒的なザフト優勢であったシベリア・蒙古戦線は大きく動き出すこととなる。
ユーラシア連邦による敵性人種隔離政策の名の下、シベリア特区に追放された人々。
それでも生きるために協力し合い、人種差別の存在しない理想郷の実現を目前としていたが、エイプリル・フール・クライシスによりその全てが壊された。
そんな特区の住人に対し、戦局の悪化、エイプリル・フール・クライシスによる人的資源の大きな損失などで兵力不足が発生していたユーラシア連邦は、一部の権利及び資産の返還を対価として特区に対しても徴兵を実施する。
再びユーラシアの人間として受け入れてもらい理想郷を完成させるのためには、ザフトの排除が必須事項であると考えた特区の人々から多数の志願兵が名乗りをあげる。
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