ハーメルン
ゼロと師
序章 奇妙な出会い

 ―遥か太古より在りし地、フォドラ。かつて女神が降臨したとされるこの地には、かつて三つの勢力が存在した。
 千年以上の歴史を誇る《アドラステア帝国》、極寒の地を王と騎士たちが治める《ファーガス神聖王国》、複数の貴族が共同体となり治める《レスター諸侯同盟領》。
 …しかし、二年前王国と同盟は帝国との戦争に敗北し、既に滅んでしまった。…ある意味元の帝国に戻ったとも言えるだろう。

 …フォドラの戦争は終わったが、その裏で闇にうごめく者と帝国軍の暗闘が続いていることを知る者は少ない。

 帝国歴1187年大樹の節(四月)、地下都市シャンバラにて。
 帝国軍の遊撃隊《黒鷲遊撃軍(シュヴァルツァアドラーヴェーア)》と闇にうごめく者たちの決戦が行われていた。

「…おい、起きろ『先生』。そろそろ出番だ」

 鋭い瞳を持った美女の傭兵、シャミアは本陣で眠りこける男に声をかける。
 『先生』と呼ばれた男はあくびをすると、シャミアに戦況を聞いた。

「…………シャミアか。こちらの被害は?」

「…まあ、うまくいってるな。イエリッツァが大暴れして敵の将がいきなり死んだ。おかげで敵は大混乱だ。
今回あんたの役目は後詰めだろ?起きておかないと乗り遅れるぞ。」

「そうだな。ヒューベルトは?」

 シャミアは肩をすくめながら後ろを指さす。

「ちょうど戻ってきているぞ」

 男は後ろを振り返り、陰気な青年に手を振る。

「クク…よく眠れたようでなによりです、『先生』」

 『先生』は伸びをすると、自身の剣をすらりと抜き…一閃。

「ギャッ!?」

 彼の白銀の剣は自身に襲い掛かろうとした暗殺者を斬り捨てる。

「…みごと」

 陰気な男ことヒューベルトはパチパチと拍手をする。

「じゃあ、行ってくる。お土産はなにがいい?……聞くまでもないか」

 微笑んだ男は、敵陣へ一人突っ込んだ。
…若さゆえの無謀か?…否!()()()()()()()()()()()()()()()()

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