ハーメルン
幻想郷に中途半端に転生したんだが
暗くなる前には帰ろう



博麗の巫女が動いたことで妖怪の人里への影響は収まりつつある。人里も以前よりは物々しい空気はなくなっていた。


と言っても俺の日常には大差なく、いつも通りに里の外側に居る。今年は妖怪の被害が多いにもかかわらず作物が例年以上に収穫を見せた。今頃里の中ではいつも以上に賑わっていることだろう。いつもは畑に何人かいる者も、今は里の中で楽しんでいる。



そんな時でさえも、自分は仕事に行かなくてはならない。俺だってたまには何もかも忘れて休みたいし楽しみたい。しかしその願いは却下された。何故か?単純に里の人間はまだ不安がっているからだ。


今回の妖怪の被害の多さは妖怪の縄張り争いが原因らしい。博麗の巫女によればある強力な妖怪が最近になって暴れ出した為に居場所を負われた妖怪達が里にまでやってきたとか。


その大元である妖怪を博麗の巫女が抑えたことで事は一応収束に向っている。しかし、件の妖怪はまだ退治されておらず未だに博麗の巫女も補足し切れてはいないとか。


里の上の人間はこのことを伏せ一分の人間にこの事実を伝え警戒を続けている。何はともああれ妖怪の被害が少なくなったため一応の警戒であるが。あとは博麗の巫女が妖怪を何とかしてくれるのを待つだけだ。


「……………」


俺は、いい様に使われすぎている。最近特にそう思う。理不尽、というわけではない。理屈は分かる。理解も出来る。だがいい加減明らかに最近の俺への負担がでかい。


(俺はいいように使われる道具じゃないぞ……)


―――ザワッ


小さく心がざわめく。それに合わせて全身の毛が逆立つようだ。その憤りを解消するかのように、何となく結界を張った。


「結ッ」


いつも通りに結界を張る。しかし、唯一いつもとは違うものがあった。結界が赤い。以前張った結界よりも更に濃い赤色になっている。


(やっぱり、な)


以前にも何度かあった。感情の高ぶりが結界に影響を及ぼす。これは結界を強化する上で予想した法則の一つ。もともと感覚的な自分の結界には感情の変化とも関わりがあるのではないかと考えたのだ。


今は、俺が感じている憤りや怒りに結界が影響し普段以上に攻撃的な影響を受けやすい状態にあるのだ。


「…………はぁ」


赤い結界。いつも以上に赤く退魔に優れた結界を見て疲れたため息を吐く。感情によって力の上下が変わる。それはひどく力が不安定で未熟であるということでもある。


ひしがきの理想は感情によって力が不安定になるのではなく理性によって安定した力が発揮できる結界である。しかし今の自分では感情がいい方向に向いている状態でもこの程度の結界しか張れない。それが我が事ながらどうしようもなくなさけなくなる。


自分の理想、そこにたどり着くには自分に何が足りないのか。技術なのか体力なのか精神なのか霊力なのか知識なのか魔力なのか理解なのか心なのか理論なのか思考なのか鍛錬なのか。


いずれにせよ誰にも指導を仰げない時点で手探りで行くしかないのはわかっていることだが。


(それにしても……)


俺の力のブースト、それは一体何の感情によって増しているのか。単純な怒りではない。ただ怒っただけではこれほどまでには力は増さなかった。以前は悲哀に似た感情でも力は増したが悲しい感情で増すという訳でもない。

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