ハーメルン
ゼロの異端者
6

森に入り、そのまま進んでいくと、そこには廃屋があった。一行は、小屋の中から見えないように、森の茂みに身を隠したまま廃屋を見つめる。
 
「情報では、確かにあの小屋です。」
 
ミス・ロングビルが廃屋を指差して言った。サイトは小屋の壁に張り付き、窓から中を覗く。中には埃を被った家具がいくつかあるだけで、人の暮らしていた形跡は見当たらない。正真正銘の廃屋だ。サイトは合図をして、ルイズたちを呼んだ。
 
「誰もいないぞ。」
 
タバサが扉の前で杖を振り、『ディテクト・マジック』を唱える。反応なし。罠がないことを確認したタバサは、ドアを開けて中に入っていく。それにキュルケが続いた。
 
「私は外を見張ってるわ!」
 
外には見張りとしてキュルケが残り
 
「じゃあ、私は辺りの偵察をして来ます!」
 
ロングビルは辺りの偵察に森の中に入る。
 

 
 
 
 
 
 
 
 



 
小屋の中を探し始めてすぐ、タバサが盗み出された『悪のオーブ』を見つけ出した。
 
「ずいぶんあっけねぇな。」
 
サイトがそう漏らす。
 
「『!?』」
 
サイトは『悪のオーブ』を見た瞬間、不思議な感覚を覚える。不気味に光るこの球体は、一体。

「退きなさい!」

するとルイズはサイトとタバサを突き飛ばし、『悪のオーブ』を抱きしめる。

「これは、私の物よ!誰にも渡さない!!!」

ルイズはニンマリとした笑顔で球体を撫でる。


 





「きゃあああああああああああああ!!!」
 
その時、見張りをしていたキュルケの悲鳴が聞こえた。サイトとタバサが一斉にドアを振り向いたと同時に、小屋の屋根が吹き飛ぶ。屋根が無くなった小屋の中を、巨大なゴーレムが覗き込むようにして立っていた。
 
「ゴーレム?」
 
タバサはすばやく詠唱し、巨大な竜巻をゴーレムにぶつけるが、びくともしない。続いてキュルケが炎を放つも、ゴーレムはまったく意に介さない。
 
「無理よこんなの!」
 
キュルケが叫んだ。
 
 
 
 
 
 
 
「退却。」
 
「ああ。『悪のオーブ』も取り返したし、ワザワザあんなのと戦う必要もないね。」
 
「そうだな!」
 
「行きましょう!」
 
全員一致で撤退を決める。
 
ボンッ!!
 
「『「『!?』」』」
 
聞き覚えのある爆発音が聞こえた。振り向くと、ルイズがゴーレムに何度も失敗魔法をぶつけている。ゴーレムもルイズに気づき、襲い掛かってきた。
 
「逃げろ!」
 
「嫌よ!」
 
ルイズは断固として逃げようとせず、ゴーレムに攻撃を続ける。
 
「私は貴族なの!魔法を使える者を貴族と呼ぶんじゃない!敵に背を見せない者を貴族というのよ!」

しかし大したダメージは与えられず、表面を少し削る程度の微弱なダメージでどんどんルイズに近づいていく。

「私は、もうゼロと呼ばれたくない!!」

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