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「約束・・・・・・どうするつもりなの?」
ふと、ルクシャナは口を開いた。
「え・・・・?」
「・・・・・・・・・・。」
ルクシャナは眉間にシワを寄せてアンリエッタを睨む。
「サイトは『もういいって』・・・・・」
「それは関係ありません。サイトさんは、約束は守りました。私に拒否権はありません。」
アンリエッタはルクシャナの気迫に圧倒される。
不意にドアがノックされる。
「誰だ?」
「私です。サイトさん。」
その声とともにアンリエッタが入ってくる。
「なんか用か?」
「あの、お話したいコトが・・・・・」
いつになく真剣な表情のアンリエッタ。だがサイトは、そんな彼女に背を向け、寝っころがる。
「子爵様がいれば、大丈夫だろ。良かったじゃねえか、これで『愛しの皇太子様』の命も安泰ってもんだぜ。」
「・・・・・・・・。」
アンリエッタの指がドレスにかかる。するりとドレスが床に落ちると、その肢体が露になった。トリステインの白百合と評される程の美貌と、木目細やかな肌に、その存在を大きく主張する胸だけでも、世紀末計算では水食料一ヶ月分以上はカタい。ユダが見れば連れ去られ、肩にUDの紋章が付く事間違い無しだろう。一度決め、行動に移したとはいえ、やはり人前で肌を晒す事に抵抗があるのか、アンリエッタは顔を赤らめ、両手で身体を隠していた。だがすぐに諦めたのか、ベットに上がった。そしてサイトに覆い被さる。
「チュ・・・・・レロ・・・・ハァ・・・・・ンチュ・・・・・」
サイトは、突然唇を奪われた。
「////プハッ・・・・・////」
しばらくして唇を離すと、二人の口に銀色の橋が架かり、なんとも淫靡な光景になっていた。
「お、お前!」
「ジッとしててください。」
アンリエッタはサイトの耳を舐められたり、首筋にキスの嵐を降らせる。
「わたくしにも戦わせてください。私もこの国を守りたいんです。あなたの力になりたいんです。だからお願いします、大人しく私に抱かれてください・・・・。」
サイトは反射的にアンリエッタを突き飛ばした。突き飛ばされたアンリエッタは、バランスを崩し、ベットに倒れこむ。
「・・・ハア・・・・ハア・・・ハア・・・。」
突然のことにまだ頭がついていけないサイト。するとアンリエッタの目から涙が流れる。
「なら、私はどうしたらいいの?あなたは私を守ってくれているのに・・・私はどうしたら・・・・。何をしたらいいの?教えてください、お願いします。」
なぜ、誰よりも他人を助けようと奮起している自分が、何も出来ないのか。何故自分は、いつも何も為す事が出来ないのか。悔しい。悔しくてたまらなかった。
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