ハーメルン
ゼロの異端者
2

「約束・・・・・・どうするつもりなの?」

ふと、ルクシャナは口を開いた。

「え・・・・?」

「・・・・・・・・・・。」

ルクシャナは眉間にシワを寄せてアンリエッタを睨む。

「サイトは『もういいって』・・・・・」

「それは関係ありません。サイトさんは、約束は守りました。私に拒否権はありません。」

アンリエッタはルクシャナの気迫に圧倒される。











不意にドアがノックされる。
 
「誰だ?」
 
「私です。サイトさん。」
 
その声とともにアンリエッタが入ってくる。
 
「なんか用か?」
 
「あの、お話したいコトが・・・・・」

いつになく真剣な表情のアンリエッタ。だがサイトは、そんな彼女に背を向け、寝っころがる。

「子爵様がいれば、大丈夫だろ。良かったじゃねえか、これで『愛しの皇太子様』の命も安泰ってもんだぜ。」
 
「・・・・・・・・。」

アンリエッタの指がドレスにかかる。するりとドレスが床に落ちると、その肢体が露になった。トリステインの白百合と評される程の美貌と、木目細やかな肌に、その存在を大きく主張する胸だけでも、世紀末計算では水食料一ヶ月分以上はカタい。ユダが見れば連れ去られ、肩にUDの紋章が付く事間違い無しだろう。一度決め、行動に移したとはいえ、やはり人前で肌を晒す事に抵抗があるのか、アンリエッタは顔を赤らめ、両手で身体を隠していた。だがすぐに諦めたのか、ベットに上がった。そしてサイトに覆い被さる。

「チュ・・・・・レロ・・・・ハァ・・・・・ンチュ・・・・・」

サイトは、突然唇を奪われた。

「////プハッ・・・・・////」
 
しばらくして唇を離すと、二人の口に銀色の橋が架かり、なんとも淫靡な光景になっていた。

「お、お前!」

「ジッとしててください。」

アンリエッタはサイトの耳を舐められたり、首筋にキスの嵐を降らせる。

「わたくしにも戦わせてください。私もこの国を守りたいんです。あなたの力になりたいんです。だからお願いします、大人しく私に抱かれてください・・・・。」















サイトは反射的にアンリエッタを突き飛ばした。突き飛ばされたアンリエッタは、バランスを崩し、ベットに倒れこむ。

「・・・ハア・・・・ハア・・・ハア・・・。」

突然のことにまだ頭がついていけないサイト。するとアンリエッタの目から涙が流れる。

「なら、私はどうしたらいいの?あなたは私を守ってくれているのに・・・私はどうしたら・・・・。何をしたらいいの?教えてください、お願いします。」

なぜ、誰よりも他人を助けようと奮起している自分が、何も出来ないのか。何故自分は、いつも何も為す事が出来ないのか。悔しい。悔しくてたまらなかった。

[9]前話 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/1

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析