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「人間の町に行く?ルクシャナ。本気かよ?」
数日後、幼馴染みであるルクシャナがとんでも無いことを言い出した。
「だって気になるじゃない?蛮人が実際どんな生活をしてるのかさ。それにサイトは気にならないの?あなたの夢のこと?」
気にならないと言えば、嘘になる。あのエルフの少女の言った言葉が頭にひっかかっていたからだ。サイトは内心人間の世界に行ってみたいと思っていた。
「でもジジイは自習しろっていってたぞ。」
「大丈夫!バレなきゃ平気よ!」
(絶対バレると思うぞ・・・・・・)
ルクシャナは一度言い出したら、聞かない。長年幼馴染みをやっている故に、そのことが良くわかっていた。
「それでどこに行くだ?」
「トリステイン王国。ドラゴンに乗って行けば、すぐに着くわ。」
「おお〜!!すげえ〜!!」
町に着いたサイトは感動のあまり、声を上げる。周りにいるのは、紛れもなく人間。本でしか見たことない本物の人間だ。
「ん?」
ふとサイトは遠くの建物に目をやる。
「なあ、あれって・・・・・・」
「ああ。あれがお城よ。何でもこの国の王族が住んでいる建物なの。」
「へーーっ。」
「どうしてくれんだ?お前のせいで肩外れちまったじゃねえか?」
「ご、ごめんなさい・・・。」
とある路地裏、そこに複数の男が一人の少女を取り囲んでいた。
「ご、ごめんなさい」
ロープを羽織った少女はどうすればいいか分からず、ただひたすら謝っていた。
「ごめんなさいだって〜どうする〜?」
「い〜や許さないね。」
「そ、そんな・・・・・」
少女は涙目になるが男達はそれを見て愉快そうに顔を歪める。
「ち、治療代なら払いますだから・・・・・・」
「だから〜、そういう事じゃないんだって〜」
男は嗤いながら少女に手を伸ばす。
「っ!!」
少女はビクッと肩を震わせ目を閉じる。聞こえてくるは気味悪い男達の嗤い声。
「そこまでにしとけ。」
ふと、男達ではなく別の若い声が聞こえる。
「・・・・・え?」
うっすらと目を開ける少女、するとそこには麦わら帽子を深く被った少女と少年が此方を見ていた。
「あ〜、お前ら?」
「これは見せ物じゃねぇぞ〜」
「それとも見たいのか〜?まったくマセたガキだぜ。」
ゲラゲラと笑う男達に少年は冷たく言い放つ。
「失せろ下衆ども。」
その一言に男達の笑い声は止まった。
「・・・・おいガキ、今何つった?」
「お兄ちゃん達よく聞こえなかったな〜」
「見た目も悪けりゃ頭も悪いか・・・・目障りな存在この上ねえな。」
少年は淡々と言葉を重ね、その度に男達は額に青筋を浮かべる。
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