ハーメルン
ゼロの異端者 
2

ルイズの怒鳴り声を受け、ようやくサイトの目が此方を捉える。ルイズは自分の声にまったく動じないその態度に、呆然として彼を見つめる。そこで初めて気づいたかのように声に反応して顔を上げた少年は、立ち上がってペコリと頭を下げた。
 
「あ! こいつはどうも。お楽しみ中に失礼。なんとも面白そうな光景に誘われて、やって来たおれの名はサイト。以後よろしく!」
 
「いやいや、そんな丁寧にこちらこそどうかひとつ・・・・・・・・・・・」

キリッと表情を引き締めて言うサイトに、ルイズが条件反射で同じようにぺこぺことお辞儀する。見事なお嬢様対応と天然スキルのオンパレードだ。サイトと名乗った少年はそれを見てうむと頷く。そして、飲んでいた紅茶に手を伸ばす。
 
「アンタが何者かって聞いてんのよ! 名前なんかどうだっていいわ! ハデにナメタた野郎ね!!」

ルイズに、ゴスッと顔を寄せられていた。問い詰める声はこれ以上ないほど震えている。明らかにおかんむりの様子であった。場が何ともいえない空気を発する。だが、沈黙が続いたのは僅か数秒であった。
 
「落ち着いて、ルイズ!彼は私の友人よ!」

救世主が現れた。声の主は、言わずもがなのアンリエッタだった。ルイズはサイトから顔を離し、今度はアンリエッタに詰め寄った。
 
「姫様! コイツは一体誰ですか!?」
 
「ちょ、ルイズ、まずは落ちつい・・・・・・・・ぐ、ぐるじい!」
  
胸ぐらを掴まみ前後に激しく振るルイズ。目を回しながらギブを宣言しているアンリエッタ。サイトは自分のせいでアンリエッタがそうなっているとは欠片も思わず、ただ二人の様子に笑いこけていた。

「こいつが姫様の命の恩人・・・・・・・・・。」
  
数分後、アンリエッタから説明を受けたルイズは、少し驚きながらも視線を向ける。そこには、相変わらずのマイペースで紅茶を口にするサイトの姿があった。お互いに自己紹介は終わらせているが、ルイズは少し不機嫌な様子だ。黙っていられたのが不満なのだろう。

「そうなんですね。姫様って昔からどこか変わっていましたけど、相変わらずですね。」

「あなたにだけは言われたくありませんわ、ルイズ・フランソワーズ。」

そう言いながら二人は苦笑いする。

「ところで、ルイズ。あなたの使い魔はどこかしら?是非、紹介してほしいのですが。」

「それは・・・・・・・・・・・・・」

ルイズは目を泳がせながら、冷や汗をかく。

グラグラ

すると部屋全体が揺れ始める。地震か?

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