ハーメルン
ウルトラ5番目の使い魔
第20話  遠い星から来たお父さん (後編)

 第20話
 遠い星から来たお父さん (後編)
 
 エフェクト宇宙人 ミラクル星人
 緑色宇宙人 テロリスト星人 登場!
 
 
「ウルトラマンA……相変わらずいいタイミングで来てくれるわね」
「……でも、かっこいい」
 ふたつの月を背にして空に立つエースの姿は、銀色の体に金色の光をまとい、神秘的な美しさすら持って、雄々しくテロリスト星人を見下ろしている。
 キュルケとタバサは、へし折られた木の影から、その勇姿を見て顔をほころばせていた。

 さらに、エースの背にかばわれて、ロングビルとアイ達も、驚きと喜びに目を輝かせていた。
「ウルトラマンA……」
「エース、おじさん! エースが、ウルトラマンが来てくれたよ!」
「ウルトラマンA……私達のために」
 
 エースは、シルフィードが安全なところまで逃げ延びたのを見届けると、テロリスト星人の目の前に着地した。
「シュワッ!!」
 油断なく構えを取るエースに、テロリスト星人も動揺しながら剣を構えなおす。
「うぬぬ、どいつもこいつも邪魔をしおって、こうなったら貴様もいっしょに倒してくれるわ!!」
 猛然とテロリストソードを振りかざして向かってくるテロリスト星人を、エースは真正面から迎え撃った。
「ダァッ!!」
 テロリストソードが振り下ろされるより早く、エースの右ストレートパンチが星人の顔面にめり込み、そのまま紙切れのように吹き飛ばす。
「ハァッ!!」
 よろめいたテロリスト星人に、エースは容赦なく、怒涛の連続攻撃を叩き込む!!
「シャッ!!」
「グハッ!」
 エースの正拳突きが腹を打つ。
「デヤッ! ハッ!」
 チョップの連打が星人の顔面をしたたかに打ち付ける。
「トオーッ!!」
 そしてふらついたところに猛烈な勢いのジャンプキックが打ち込まれ、星人はひとたまりも無く吹き飛ばされた。
 もちろんそれで終わりではない。起き上がってきたところでさらなる連撃が始まった。
 パンチ、キック、膝蹴り、投げ技、テロリスト星人は切りかえす余裕もない。 
「すごい、なんて強さなの」
 今回初めてエースの戦いぶりを見るロングビルも、自分の土ゴーレムなどとは比較にもならない別次元の戦いに瞬きするのも忘れて見入った。
 そのとき、エースの背負い投げがテロリスト星人に炸裂、星人は地面に叩きつけられると、五回も森の中を転がされて、ようやく止まった。
「く、なぜだ……なぜこうも、食らえ!!」
 まるで歯が立たないことに愕然としたテロリスト星人は、苦し紛れにテロファイヤーをエースに向かって放った。弾丸は、エースの体に突き刺さって爆発を起こし、キュルケ達は一瞬顔をしかめたが、エースは身じろぎもせずに仁王立ちでそれを振り払ってしまった。
「な……」
 驚愕するテロリスト星人だが、同時にそれを見守っていたキュルケ達も驚いていた。
「き、今日のエースはいつにも増してすごいわね。なんというか、闘志がみなぎってるというか」
 先の才人と星人の戦いを見て、キュルケはテロリスト星人は決して弱くなく、むしろ武器を持っている分だけエースより有利だと思っていたが、エースはそんなハンディなどものともしていない。
「エースも、怒ってる……」
 タバサがぽつりとそう言った。
 そう、怒りを燃やしているのは何も才人達ばかりではない。エースも、非道なテロリスト星人に対して怒っていた。善良なミラクル星人をいたぶり、小さな子供を泣かせ、これで怒らずにいつ怒れというか、悪に対して怒らずに、人はどうして正義を貫けるか。

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