bro
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ベッドから上半身を起こし、デバイスに視線を向ける。兄から贈られたデバイスにまだ使い慣れず苦戦するもメッセージを開けば微かに笑みを浮かべる。
"誕生日おめでとう"
たった一言。時間もギリギリ。あと少しで日付が変わるところだった。しかし、その送信者からのメッセージが嬉しくて堪らなかった。
送信者は宜野座伸元。
もう1人の兄といっても過言ではない関係性の相手。
仕事がやっと終わったのだろうかと、相変わらず忙しそうだな〜と考えていた。
舞白はすかさず、返信しようと文章を打ち込む。
「…ありがとう。
今日は、お兄ちゃんと素敵な誕生日を過ごすことが出来たよ。ノブ兄のお陰。仕事頑張ってね。と……」
電話でもかけようと思ったが、恐らく仕事中だろう。邪魔をしないようにと気遣いも兼ねて、メッセージを送信する。
「さてと、…そろそろ寝よ――」
すると、鳴り響くデバイス。
すぐに応答すると、電話口の相手の声に思わず笑みを零す。
『なんだ、起きてたんだな』
「…ノブ兄こそ、仕事は?」
『事件を片付けて一息ついてたところだ。』
宜野座の姿は公安局ビルの51F、展望テラスにあった。柵にもたれ掛かり、目の前に広がる都心の煌びやかな景色を横目に微かに頬を綻ばせていた。
「お疲れ様。…今日、お兄ちゃんの仕事変わってくれたんでしょ?」
『そんな事は無い。あいつは自分の仕事を期日内に終わらせた。俺は何もしてない』
ぶっきらぼうに聞こえるが、彼の優しさが滲み出ていた。舞白はクスクスと笑みを零す。
『そんな事より、明日は学校は休みだろう?少し寄ってもいいか?渡したいものもあるし…』
「うん、大丈夫。…ただ午前中は部活があるから、お昼以降がいいかな?」
『わかった。』
落ち着いた彼の声。何気ないいつもの会話。なのに、妙に胸が高鳴る気がして止まない。別にいつもの事じゃないか?と
家に来るのも、彼なりの優しさだ。忙しい兄の代わりに、少しでも寂しさを払拭させてやろうという宜野座の優しさ。
14歳になって、どこか体を病んでいるのだろうかと思うほどに、自分の心音がやけに五月蝿く、考えれば考えるほど顔が熱くなるのがわかる。
『――舞白?』
「ひゃっ…へっ?」
『…なんだその間抜けな声は?もしかして、本当は寝てたんじゃないんだろうな?俺のメッセージの通知音で起こしたり…』
「ちっ、違う違う!別に変なこと考えてたわけ――」
『変な事?』
ぶんぶんぶんと腕を振ると、次々と訳の分からない言葉が口から湧き出て自分でも訳が分からない。ガクッと首を落とせば、絶対変に思われた…と落ち込んでいた。
『お前、最近変じゃないか?体調でも悪いのか?』
「え?…そ、…そう?」
『この前、試験対策にって俺を呼び付けた時も、お前様子がおかしかったぞ』
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