あぁ、ということは内部分派と総括を繰り返し、幹部を売り渡して自分が隊長になって、何らかの資金を受け取っているのではないだろうか?ガス抜きを彼らがして、それにより協商側への参加の布石に思えるが‥‥。
「いや、有益だった。危険地帯とは思いもしなかったよ。生憎と財布を重くすると狙われそうだから君が受け取っておきたまえ。」
ダキア紙幣を束で渡す。帝国紙幣と交換したらこんな束になってしまったから仕方ないよな。
「こんなに‥‥。また来てください。気になるなら新ネタを仕入れておきますから。」
バリスタはほくほく顔で去っていったが、全くその鉄兜団というのを調べて同時に今の組織に反抗しているものの尻尾も捕まえないといけないようだ。明らかに協商側の工作を感じる。
俺は何故か勘は外れたことがない。だとするならば奴らの狙いはわかっている。なら、協商側に協力をさせなければいいだけだろう。給料分の仕事ぐらいはやってやるさ。やらねばいかんよな。除隊するにしても多少は愛着が出てきた帝国を少しだけ有利にするのも悪くはないだろう。それに政府と鉄兜団の癒着を暴いたところで決定的な協商側との国力差は何も変わらないだろう。
「ありがとう。」
そして、席を立つと町中を歩く。首都は栄えていて露店や野外カフェ等がひしめき合っている。そんなに緊張感があるようには思えない。
【挿絵表示】
しかし、妙な感覚がするこの感じ‥‥これは尾行されているのじゃないか?背中に視線や気配を感じるこれは見えた。3人のスーツを着た男がいる。
【挿絵表示】
銃は持っているとは思えないがナイフぐらいは持ってるかもしれない。こっちにあるのは‥‥ステッキに仕込んだ仕込みと鉛の煙管ぐらいだ。吸わないがこれは武器になるから持っていた。あとは拳銃ぐらいだがあの距離では詰められて負けだ。なら格闘しかないだろう。奴らがなんとしても俺なら勝てる自信があった。路地に入ると奴らもついてくる。
路地の隙間の上に素早く登ると走ってきた三人に先程の調味料を入れた包を投げつけて、飛びかかり鉛の煙管で徹底的に殴る。
先に立ち上がった男が白刃の鈍い輝きを懐から放ったが、それが俺に届くことはない。ステッキで喉元を突いてめったうちにしたからだ。男の懐からあるものが落ちて、俺は目を丸くした。
三人を捕まえると縛り付けて、引きずる。市民の目は割となれてるようで、また鉄兜団が捕まったかぐらいの反応なのだろう。そのまま、大使館に入ると驚かれたがすぐさま、俺は大使の執務室に呼ばれた。
「着任早々、随分だな中尉。私は疑ったぞ。あれが暴漢に見えたか?あいつらは調べたところ、国民国旗団のメンバーだ。比較的鉄兜団より、帝国寄りの存在だ。あれらはそこそこ、情報をこちらにくれる。彼らの機嫌を損ねるとなかなか不味い。謝ってきたまえ。キミの不手際だ。」
いや、尾行されたら誰でもしばくだろうこんな失敗国家が息してるような3分で失敗国家みたいな場所なんだぞ。選挙が始まると投票の代わりに立候補者が撃たれたりするとかいう第一次世界大戦後の独逸みたいな治安の場所だってわかってるのか?可笑しいよ。
[9]前 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:2/4
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク