ハーメルン
宇宙戦艦ヤマト 迷い子達のアンサンブル
第一話 HELLO NEW WORLD

  無限に広がる大宇宙。
 星の海には生命が溢れ、銀河系の太陽系に属する蒼き惑星地球もまた生命溢れる美しい星であった――だが、西暦2199年地球は滅亡の危機に見舞われていた。

 地球人類が初めて接触した地球外文明『ガミラス』との悪夢のファーストコンタクトを経て戦争状態に突入した地球は、ガミラスの圧倒的な科学力の前に敗北――戦略兵器『遊星爆弾』により地球は海も干上がり、放射能によって人類は地下シェルターへと追いやられてしまう。

 しかも放射能汚染は日に日に地下へと侵食し、地下シェルターが放射能に汚染されるまで一年と予想された――このまま人類は為すすべもなく滅びてしまうのか。

 だが人類に光明が訪れる――銀河系より遥か彼方一六万八千光年の彼方にあるイスカンダルより地球を再生させるコスモリバースシステムの情報がもたらされたのだ。

 地球を再び青い惑星に――イスカンダルより供与された『次元波動理論』により造られた人類初の恒星間航行用宇宙船 宇宙戦艦『ヤマト』が、地球の命運をかけて未知なる宇宙へ向け抜錨したのであった。





 地球が属する銀河系とイスカンダルが属するとされる大マゼランの間に広がる広大な宇宙空間。その中間点に近い場所に赤い歪な星があった。

 自由浮遊惑星バラン――銀河間空間のほぼ中間に位置するこの惑星は古くから航路を示す灯台として認識されていた。しかしその実態は太古にアケーリアス文明が褐色矮星の中心部に、各方面への亜空間通路を繋いだゲートシステム用の巨大なエネルギープラントを設置する等の改造を施してできた天体であり、アケーリアスが張り巡らせた亜空間ネットワーク網の中心となっている。

 そして今、この惑星の周辺宙域には一万個以上の人工物が存在している――ほぼ全ての物がダークグリーンに塗られた戦船。大マゼランに覇を唱える『ガミラス帝国』が誇る主力艦隊が集い、その強大な軍事力を誇示していた。ガミラスの中央軍総監ヘルム・ゼーリック発案により大規模な観艦式が執り行われていたのだ。
 周辺の星間国家に軍事的圧力をかけ、自らの武を知らしめる目的を持って集められた一万隻以上の大艦隊――だが今その大艦隊は、たった一隻の戦艦により混乱の極地にあった。

 観艦式の最中、突如として現れた銀河系にある反ガミラスの惑星。彼らガミラスが『テロン』と呼ぶ地球の宇宙戦艦『ヤマト』が、たった一隻で一万隻以上の戦闘艦艇が集うガミラスの観艦式に現れたのだ。

 正に無謀の極地、たった一隻で何ができる。我が大ガミラスの武の前には所詮は蟷螂の斧に過ぎんと誰もが思った……しかし、その蟷螂の斧は―イスカンダルよりもたらされた『次元波動理論』より造られた『次元波動エンジン』の膨大なエネルギーに裏付けされた『波動防壁』を身に纏い、『陽電子衝撃砲』により一擊でガミラスの艦艇を破壊する恐るべき戦闘力を秘めていた。

 死中に活を求める――艦長沖田十三宙将指揮の下、立ち塞がるガミラス艦を粉砕して突き進む『ヤマト』。“これが沖田戦法”火球に沈むガミラス艦を目の当たりにしながら若きクルー達も士気を高める。

「火力を前方に集中――喰い破れ!」

 沖田の号令に三連装陽電子衝撃砲が前方に向けて火を吹く。発射されたエネルギー弾は目の前に展開するガミラス艦を粉砕し、『ヤマト』は突き進む――その突進力は衰える事なく、『ヤマト』の牙はガミラスの包囲網を食い破るかと思われた。

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