ハーメルン
アクタージュのママの人
女優にも物凄く母親だと思われる男子高校生

朝野市子は石杖綱吉の熱烈なファンであり、石杖綱吉が役者として登場している作品を全て網羅している。

特に好きな作品は石杖綱吉という役者が子役時代に初めて主演を務めたあの作品。

生まれ変わって小学生になった母親と年齢的には母親よりも上になった子との日々を描いた作品が、朝野市子のお気に入りだった。

ちなみに様々な母親を演じる石杖綱吉のことをファン達は石杖ママと呼んでいたりもするようだが、朝野市子も家で石杖綱吉が登場している作品を見ている時は、石杖ママと呼んでいるみたいだ。

熱烈なファンがかなり多い石杖綱吉の大ファンである朝野市子は、いずれ共演する時が来たら絶対にサインをもらうと心に決めていたらしい。

そしてそんな朝野市子の願いが叶うかもしれない時は訪れた。

ドラマで石杖綱吉と共演することになった朝野市子は、内心で狂喜乱舞していてもそれを表に出さないように気をつけながら、早めに現場に到着。

現場の人々や共演者達への挨拶も欠かさない礼儀正しい石杖綱吉が挨拶回りをしているところを見て「生石杖ママだ!」と内心で大興奮していた朝野市子。

若干そわそわしていた朝野市子の元にも挨拶に来た石杖綱吉が「おはようございます。今日は、よろしくお願いします朝野さん」と笑顔で挨拶すると「おはようございます石杖くん!此方こそよろしくお願いしますね!」と朝野市子は食い気味に返答してから手を差し出す。

挨拶という形で石杖綱吉に触れられると思った朝野市子は、大ファンとして握手をしたくて堪らなかったみたいだ。

差し出された朝野市子の手に応えて、自然に握手をした石杖綱吉。

「キャッホオオオオオ!石杖ママと握手しちゃった!手がスベスベしてるう!」という感じで内心ではハイテンションになっていた朝野市子だが、それを表に出さずに微笑むだけで終わらせている辺りは流石に女優だと言えるだろう。

しかし石杖綱吉が戸惑いながらも「すいません、他の人への挨拶もあるので、そろそろ手を離してくれませんか」と言い出すまで朝野市子は手を離さなかった。

そんなことをしてしまった朝野市子は、大ファンである役者の石杖綱吉とずっと手を握っていたいという気持ちが確かにあったのかもしれない。

大ファンだった石杖綱吉と手を握りたい一心で行動した結果、サインをもらうという目的を忘れてしまっていた朝野市子。

握手したい欲求を抑えることが出来なかった自分の責任だと受け止めた朝野市子は、休憩時間か撮影が終わってから石杖綱吉にサインをもらおうと考えていたようだ。

ドラマの撮影が開始されていき、華道を教える美しい義理の母親を演じる石杖綱吉と、その母親と歳の近い娘を演じる朝野市子は、義理の母と娘でありながら、まるで姉妹のような関係を見せるようになる。

石杖綱吉と近い距離で演じることになった朝野市子の脳内はカーニバル状態になっていて、凄まじい多幸感に満たされていた。

「石杖ママは、やっぱりとっても綺麗だわ!美しい!」なんてことを考えながら、芝居の範疇で可能な限り石杖綱吉をガン見していた朝野市子は、大ファンとして感無量な気持ちだったらしい。

凄まじく集中できていた朝野市子はNGを出すことがなく、全くNGを出さない石杖綱吉が居ることで、スムーズに進んだ撮影は更に続いていく。


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