女優にも物凄く母親だと思われる男子高校生
朝野市子が演じる義理の娘が義理の母親を演じている石杖綱吉のことを初めて「お母さん」と呼ぶ場面から続いて、そう呼ばれた石杖綱吉が演じる義理の母親が嬉しそうに微笑む場面が撮影された。
微笑んだ義理の母親は、誰が見ても美しく見えていたようで、現場に居た全ての人々が見とれる程に美しい微笑みであり、監督が一瞬カットを忘れてしまうほど美しかったようである。
その微笑みを間近で見た朝野市子は「生の石杖ママの微笑みは破壊力が段違いに凄い!う、美し過ぎるわ!」と思いながらも必死に緩みそうな顔を堪えて演技を途切らせないようにしていたが、限界は近い。
ようやく監督が我に帰って撮影をカットし、石杖綱吉と共演していた朝野市子は安堵の息をついた。
最後に監督がカットを忘れてしまうということはあったが、順調に進んだ撮影は一旦終わって休憩時間となり、現場の各々が休憩を始めていく。
この時を待っていたと言わんばかりな顔をした朝野市子は、自分の手荷物から色紙と油性マジックペンを取り出すと、休憩中の石杖綱吉の元へと素早く移動。
「朝はちょっと言えなかったけど大ファンです!サインをください石杖くん!」
色紙と油性マジックペンを石杖綱吉に向かって差し出しながら言った朝野市子。
「サインですか、いいですよ。石杖綱吉から朝野市子さんへって書きますね」
休憩時間でも快く色紙にサインした石杖綱吉は、ファンをいつも大事にしている。
丁寧に色紙にサインをした石杖綱吉に感謝をした朝野市子は、サインが書かれた色紙を抱きしめて物凄く嬉しそうに笑った。
「石杖くんに書いてもらったサインは、私の家宝にしますね!」
そう言っていた朝野市子が嬉しそうにしていてくれたから、サインを書いた石杖綱吉も嬉しくなっていたようだ。
休憩時間は、まだ充分にあり、実際に石杖綱吉と会えたらファンとして話したいことが沢山あったらしく「ちょっとお話しませんか」と提案してみる朝野市子。
「まだ時間もありますからいいですよ朝野さん」と気軽に了承した石杖綱吉。
そんな石杖綱吉の熱烈なファンである朝野市子の熱量は凄まじいものであり、初期の石杖綱吉から今の石杖綱吉まで、全てを見てきた朝野市子のファン魂が間違いなく爆発していた。
これまで石杖綱吉が登場した作品全てを見てきている朝野市子が語る内容を聞いて、大ファンだということは嘘では無さそうだと石杖綱吉も思ったみたいだ。
それから撮影が再び開始されるまで会話をしていた石杖綱吉と朝野市子が、ただ1人の役者とその大ファンになっていたことは間違いない。
撮影が開始されると直ぐに切り換えた2人は立派な役者であり、撮影でミスをすることは1度も無かった。
義理の母親を演じる石杖綱吉と、血の繋がらないその娘を演じた朝野市子は、とても見事な演技を見せていたらしい。
「石杖ママが見ている前で駄目なところなんて見せられない!」と普段よりも気合いが入っていた朝野市子。
共演した石杖綱吉によって演技が引き上げられていたこともあり、朝野市子の演技は素晴らしいものに変わっていく。
石杖綱吉は更にその上を行き、美しい義理の母親の役を演技と思えない程の完成度で、そんな義理の母親が本当に存在しているかのように演じていった。
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