石杖綱吉と共演者の演技その2
そんな日々が続いていき、精神的に追い詰められていってしまった母親は、徐々にやつれていく。
「お母さん、駄目なの、夫に似ているあの子が段々醜く見えてくるの」
自身の母に電話しながら、キッチンで母親は自分の息子について話していくが、それを息子が聞いていた。
「お母さん」
母親のことは嫌いではなかった息子は、精神的に追い詰められておかしくなっている母親に無警戒で近付いてしまう。
キッチンではヤカンでお湯を沸かしているところであり、沸騰した証としてヤカンからは蒸気が吹き出ている。
おかしくなっていた母親は、夫に似ている息子に思わずヤカンの煮え湯を浴びせてしまった。
「ごめん、ごめんねぇ」
自分のやってしまったことに正気を取り戻した母親は、泣きながら息子に謝る。
息子は左目の目元に火傷の痕が残り、母親は病院に入院することになってしまったが夫は、妻がそんなことになってしまっても何も気にしている様子はない。
「お母さんがおかしくなったのは、お前のせいだ!」
そんな父親に対して、剥き出しの憎悪をぶつける息子の形相は8歳とは思えない程の迫力があった。
時は過ぎていき、息子が高校生になった頃、入院している母親に会いに行った息子。
左目の目元に火傷痕が残っている息子に、苦しそうな顔をする母親は、残ってしまうような火傷をさせてしまったことを間違いなく気にしている。
母親のことは全く嫌っていない息子は、つらそうな母親を笑わせようと頑張っていた。
お母さんには、笑っていてほしいと思っていた息子は、できる限りのことをして母親を笑わせようとしていく。
息子のその努力は実り、母親を笑わせることはできたが、笑っていても涙も流していた母親。
優しい息子の思いが伝わって泣きながら笑う母親に息子は慌ててしまう。
「ありがとう」
涙を流して笑って、息子に感謝をした母親は、とても儚く美しく見えていた。
このドラマで石杖綱吉の登場する場面は、これで終わりとなる。
「いらっしゃいませ」
笑顔でお客を出迎える旅館の女将は、娘がいるとは思えない程若々しい。
旅館で殺人事件が発生し、警察官達が旅館を訪れると、毅然とした対応をする女将。
殺人犯が、まだ見つかっていない旅館で女将の娘が女将に構ってもらいたがっていた。
犯人である殺人犯は、女将の娘に殺人をした瞬間を見られたと思って顔を隠した状態で娘をナイフで殺害しようとしたが、女将によって阻止される。
犯人は女将の腹部をナイフで刺したが女将はナイフを掴んで離すことはない。
「私の娘は、私が護る!」
ナイフを諦めた犯人が素手で娘を狙おうとしたところで、女将は体当たりして、犯人の行動を防ぐ。
刺された痛みに顔を歪め、腹部から血を流しながらも女将は犯人から娘を護りきる。
「お母さん!お母さん!」
女将にすがりついて大きな声で泣く娘の声で人が寄ってくると判断した犯人は逃げ出した。
犯人が逃げ去ってから、到着した警察官が女将に応急手当てを施して救急車を呼んだ。
「必ず犯人を捕まえてみせる」
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