ハーメルン
アクタージュのママの人
スターにも母親だと思われる男子高校生

日本ではなく海外で活躍する映画俳優の王賀美陸は、海外でも放映された映画に出演していた石杖綱吉の芝居を見て、石杖綱吉という役者に興味を持った。

自身の芝居を世界の財産だと考えている王賀美陸の目から見ても、石杖綱吉の演技は、演技だと思えないほどに自然に感じられて、石杖綱吉が演じる母親は、どう見ても本当の母親にしか見えないと思った王賀美陸。

石杖綱吉が出演した日本の映画は海外でも高く評価されたようで、母親の演技が素晴らしいと石杖綱吉のことを大絶賛する声もあり、国際的にも知名度が高まった石杖綱吉。

そんな石杖綱吉を直接見てみたいと考えた王賀美陸は、日本へと向かうことを決めて飛行機に乗り込んだ。

数時間後に日本に到着した王賀美陸は、スマートフォンで石杖綱吉が所属する事務所を調べて、事務所までタクシーで移動。

石杖綱吉の所属する事務所に真正面から堂々と入ってきた王賀美陸を見た受付がパニック状態になりながらも「ご用件はなんでしょうか?」と聞くと「石杖綱吉に会いに来た」と答えた王賀美陸。

事務所の受付から上役に連絡が行き、上役から石杖綱吉のマネージャーの山野上花子にまで連絡が繋がり、何故か王賀美陸が事務所に来ていることは石杖綱吉にまで伝わる。

「何故?」

困惑する山野上花子は王賀美陸が日本に来ていることよりも、王賀美陸が「石杖綱吉に会いに来た」と言っていることに物凄く困惑していた。

「とりあえず電話代わりましょうか花子さん、事務所の人とちょっと話したいんで」

役者が突拍子もなくとんでもないことをすることを知っていて山野上花子よりも落ち着いていた石杖綱吉は、困惑している山野上花子からスマートフォンを受け取ると事務所の上役と話しをしていく。

「今日は仕事終わりで疲れているかもしれないけれど、できるなら綱吉くんには事務所まで来てほしい」という上役からの懇願に、事務所の人には世話になってるから仕方ないと思った石杖綱吉は、山野上花子と一緒に事務所まで向かうことにしたらしい。

到着した事務所の中で石杖綱吉は、王賀美陸と初めて出会うことになった。

「なるほど、化粧無しでも花束が似合いそうな顔だ。薔薇の花束でも買ってきておくべきだったか」

石杖綱吉を見てからの王賀美陸の第一声は、容姿についてのことであり、悔やむような口ぶりには悪気は全くない。

「薔薇の花束は結構ですよ王賀美さん。貴方からそんなもの渡されたら妙な噂が立ちそうなんでやめてくださいね、いや本当に」

止めておかないと誰が見ていようがお構い無しに薔薇の花束を渡してきそうな王賀美陸にストップをかけておく石杖綱吉は、王賀美陸に悪気がないことは理解していたので、嫌そうな顔をすることはなかった。

「石杖綱吉、昨日初めて、お前が演じる母親を見た。今まで見てきた様々な役者の母親の演技の中で、俺には誰よりもお前が1番、母親に見えた」

「それはどうも、ハリウッドのスターに褒められるような演技ができていたことを誇りに思います」

「石杖綱吉、何か台本を持ってないか?お前と共演をしてみたい」

「いずれ演じようと思っていて、いつも持ち歩いてる台本ならありますけど」

「よし、それを貸せ」

「はい、どうぞ。こっちは覚えてるんで、王賀美さんは台本持ったままでいいですよ」

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