ハーメルン
ナルトが綱手に引き取られる話
ナルトが綱手に引き取られる話

ナルトは幼少期より迫害を受けていた。
町を歩けば殺意と憎悪の目で見られ、集団リンチは当たり前。食事に毒を盛られることも多々あった。
そんなナルトの人生に転機が訪れたのは七歳の時だ。
気まぐれに里に帰ってきた綱手がナルトの境遇を知り、半ば強引に身柄を引き取ったのである。
無論大切な人柱力。里から出すことに反対意見もかなり出たが、綱手が押切り、三代目が不満を無視して許可を出した。
「許可するだと?ヒルゼン、本気でいってるのか?」
眉を潜めてヒルゼンを睨むダンゾウ。
「無論、本気じゃ。」
ヒルゼンも力強く答える。
「正気ではないな。人柱力を里の外に出すなど、どうぞ連れ去ってくれと言ってるようなものだ!人柱力を失うことがどれ程里に影響をもたらすか分かっているのか!」
「綱手が護衛として側にいるのだ。この里にいるより安全かもしれん。ついこの間も毒殺されかけたと聞いたしの。」
「うずまきの血を引き、しかも九尾の回復力もある。そう簡単に死にはしないわ!ーーーーそれに幾ら三忍と言っても綱手は血液恐怖症。戦闘で役には立たん!」
「それを知っているのは木の葉でもごく一部の者だけじゃ。他里の者なら三忍と言うネームバリューだけでも十分な抑止力になる。それに綱手の側仕えはカカシ並みに腕が立つらしいしの。」
ダンゾウの言撃をのらりくらりとかわすヒルゼン。
何を言っても無駄だと判断し、綱手を睨み付ける。
「今のお前にナルトを守れるのか?」
敢えて九尾ではなく、ナルトと呼ぶのがダンゾウの厭らしい所である。
綱手は当たり前だとダンゾウを睨み返した。
その返答にダンゾウはにやりと笑う。
「ほう?では、その覚悟とやらを見せてもらおうか。」
ダンゾウは自分の手をクナイで切りつける。
右手から血がポタポタと流れ出た。
「戦闘が出来ずとも、戦う素振りぐらいは出来てくれれば儂も安心できるのだがな。」
出来るはずがないと確信しながら、反撃の契機とすべく言葉を紡ぐ。
ダンゾウは意思の力などと言うあやふやなものは信じない。
常に合理的に考えてきたからこそ、血液恐怖症の綱手には何も出来ないと高を括った。
だからこそ、綱手の覚悟を読み違えた。綱手にとってナルトは只の他人ではない。ただ憐れんで引き取るなどと言い出したわけではない。綱手にとってナルトは特別な存在だった。容姿は自分の弟の生まれ変わりと思えるくらい良く似ており、夢を語る姿は最も大切だった二人を想起させる。
綱手の体は震えていた。しかし、今までのように体の奥が冷え込むような感覚はない。燃えるような憤怒が体に力を与えてくれる。
「そんなに見たいならーーーー!」
綱手は目の前のいけ好かないジジイをぶっ飛ばすべく、足に力を入れる。
「見せてやるよ!」
瞬身の術でダンゾウの前にまで移動し、拳にチャクラを集め、振り抜いた。
振り抜かれた拳は見事にダンゾウの顔面に直撃し、ダンゾウの体は宙を舞う。
「ぐへぼえ!」
「これで文句はないだろ!」
家材を破壊しながら崩れ落ちるダンゾウ。
ヒルゼンはそれを見た後、何事もなかったかのように締め括った。
「うむ、良い覚悟じゃった。では、暫くは綱手に預けるとする。ただし、アカデミーの卒業試験までには里に連れて帰ってくるのが条件じゃ。」

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