ハーメルン
ナルトが綱手に引き取られる話
ナルト、自来也に会う(8歳)③


「いやー、すまんすまん。てっきり私はお前が要らんこと吹き込んだのかと思ってたよ。まさかナルトのオリジナル忍術だったとはね。それならそうと早く言ってくれればいいのに」

自来也から事情を聞いた綱手は右手を縦に立てて謝罪する。自来也の頭は見事に瘤が出来ており、実に痛そうだ。
三段瘤を作った自来也は左手で後頭部を擦りつつ、涙目になりながらジト目で綱手を睨む。

「弁明する暇もなく叩いたのはお前だろうに!まったく!ケツの傷も癒えぬ内に!今日はとんだ厄日だっての!」
「ケツ?」
「い、いや、何でもない。こっちの話だ」

怒りで余計なことを口走ってしまった自来也は慌てて誤魔化した。
さすがに覗きをしてたらナルトにカンチョーされて女湯にダイブして憲兵を呼ばれそうになって逃げたなんてことを綱手に話そうとは思わなかった。かつて綱手の湯浴びを覗いて死にかけた経験のある自来也には、覗きがバレるのは生きた心地がしない恐怖である。シズネもナルトもどうか綱手には言わないでくれよと心の中で願いつつ、話を変える。

「ところで綱手、ナルトに向けられる視線には気付いているのか?」

真剣な表情を作る自来也に、綱手は心底めんどくさいという顔をする。

「ああ、知ってるよ。木の葉の暗部だ。護衛が私らだけじゃ不安なんだとさ。もう一年近く付きまとわれてる。朝も夜も熱心なことだよ」
「なるほど、暗部だったか。道理で優秀なはずだ。もっともお前が護衛に付いてるなら必要ないと思うがの」
「ダンゾウは完璧主義者だからね。大方、私の血液恐怖症が本当に治ったのか疑ってるんだろうさ」
「なるほどのお。ま、最悪を想定するのは忍としては正しい行動だな」
「ふん。」

綱手は不快気に鼻を鳴らした。
しかし、自来也の言葉の正しさも理解しているので否定はしないし、監視についても黙認している。今までも、これからも……。もっとも不快であることに変わりはないので、敢えて肯定もしないが。

「まあ、それはいいとして、あんたは何でこんなとこにいるんだい?やっぱ大蛇丸関連かい?」

綱手には自来也に会った時からそれが一番気になっていた。自来也が大蛇丸をずっと追っていたことを綱手はよく知っていたからだ。
自分一人旅だったら特に気にすることも無かったのだが、今はナルトが一緒にいる。あの変態が近くにいると思うとおちおち休むことも出来ない。てか、もしナルトに近づいたら殺してやる!

「お前の予想通りだ。奴は今川の国にいるらしい」
「結構近いな」
「うむ、だから、近づかないことを勧める」
「言われなくても近づかないさ。お前はどうするんだ?」
「────」
自来也は曖昧な笑みを浮かべるだけだったが、それだけで十分だった。
「気をつけろよ」


さて、綱手と自来也がわりと真面目な話をしている横で、ナルトはシズネに怒られて正座をしていた。さらに、その途中で、自来也達の会話からお色気の術の考案者がナルトとバレて、肩身は狭くなる一方である。

「良いですか!もう二度とあのいかがわしい術は使っちゃダメですからね!特に外では!」
「わ、分かったってばよ」

屋内ならいいのかとは流石に聞けないナルトだった。










[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/4

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析