ハーメルン
進撃の巨人 The end -ゲームの主人公が生きていました- -誰が為の翼-
#10 名もなき英雄/鎧の巨人
その後、サシャはエルヴィン団長に報告、そしてグリュックはエレンたちと合流し、ウォール・ローゼ内に現れた巨人の討伐、そしてミケたちの救援のためウトガルド城へと向かっていた。
「ナナバさんは、生きているんでしょうか……」
「どうだろうね。でも彼女は5年前から生き残ってるし、大丈夫なんじゃないかな?」
そんなとき、城の方から声が聞こえてきた。
「巨人多数接近! さっきの倍以上の数は……」
(嘘だろ……?)
「俺先に行ってきます!」
そう言ってグリュックは返事も聞かず飛び去っていってしまった。
「ちっ……。独断行動か?」
声を辿り、グリュックはウトガルド城へと向かった。
「嘘だろ……?」
既に城は崩壊寸前だった。
「チッ、それでも……!」
外壁にアンカーを打ち込み、城に着いたグリュック。
「……ッ、ナナバさんッ!!」
折れた刃しか残っていないナナバが、今にも食べられそうになっているのを見たグリュック。
「やだやだ! お父さん! やめて! もうしません! やだあ!!」
「まだだ!!」
一閃ッ、ナナバを抱えたグリュックは一旦
「酷いな……右足が食われてる……」
「クソ……俺のガスももうもたないな……」
そして、ウトガルド城を囲んだ巨人の群れは巨人化したユミルの活躍と、駆けつけた調査兵団によって撃退された。重症を負ったユミルは治療のためトロスト区へと送られることとなったが、壁に穴は空いていなかったという。穴がないのだとしたらどうやって壁の内側に巨人が現れたのか、疑問を抱えたまま、グリュックたちはトロスト区で待機する。そして片足を失うという大怪我を負ったナナバは一足先に兵舎の治療室へと送られることに。
「あの……ナナバさん、こんな時に聞くのもなんですけど、お父さんと何かあったんですか?」
「いや……訓練兵の時に私は父に言われたんだ。『成績が10位以内なら憲兵団にしなさい。もしそれ以下なら駐屯兵にしなさい』って。でも私はそれを無視して調査兵団に入ったんだ。……多分私を心配してくれていたんだろうね。だからつい咄嗟にあんな言葉が出てしまったんだ。失望……したよね?」
「そっ、そんなことありませんよ。……それよりもゲルガーさんやリーネさん、ヘニングさん。それにミケさんまでもが……」
「あぁ……私も君が来てくれていなかったら今頃ここにはいないさ。……本当にありがとう」
「でもその足じゃもう……立体機動装置は使えない、ですよね……俺がもう少し早く駆けつけていれば……!」
「悔やむ必要は無いよ。それに兵士をやめるなら家族にも会えるしね」
「……はい、お父さんに……」
「? なんで泣いているんだい?」
「……いや、俺もなんでか……。……!?」
「ふふっ、君はまだまだ子供だ。だからこんな戦場、来る必要なんてないんだよ」
頬にキスされた程度でこの慌てよう、グリュックはまだまだ子供だということを身をもって思い知らされた。
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そしてその後、ナナバを医務室へと運んだグリュックはトロスト区壁上へと登るが、そこに鎧の巨人と超大型巨人が出現する。ライナー、ベルトルトがあの5年前の惨劇の正体だったのだ。グリュックは家族を奪った鎧の巨人への憎悪、怒りとライナーに対する信頼、憧憬の感情の間で葛藤するが、それに対しエレンはすぐさま巨人化し、鎧の巨人の顔面に拳を叩き込む。一方、超大型巨人は調査兵団が待機していた壁を破壊し、昏睡状態のユミルを捕らえて自らの口へと放り込むのだった。調査兵団はハンジの号令のもと、一斉に超大型巨人へと襲いかかるが、巨人が全身から蒸気を噴出させたため近づくことすら不可能となってしまった。
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