ハーメルン
進撃の巨人 The end -ゲームの主人公が生きていました- -誰が為の翼-
#3 初陣/防衛作戦開始

 人類の活動領域を囲む壁には、突出する半円形の区画が4箇所ずつ設けられている。この区画に人口を集めることで巨人の標的を絞り、守備兵力を集約するためだ。そのうちの一つが、ウォール・ローゼ南方に位置するトロスト区である。

 トロスト区には駐屯兵団本部が存在し、訓練兵は正式配属までの期間、駐屯兵団と共に様々な任務にあたることになっていた。

 成績上位10名の中にグリュックの名前はなかったが、もとより彼が志していたのは調査兵団だった。あの日から5年間、抱き続けた思いを遂げるためである。そんな彼もまた 、104期の同期たちと共に、トロスト区での任務に励んでいた。

「はぁ……? 調査兵団にするって? コニー、お前8番だろ! 前は憲兵団に入るって……」

「エレンの昨日の演説が効いたみたいね」

 先日のエレンとジャンの喧騒の際のことである。

「う、うるせえ! 俺は自分で決めたんだよ!」

「そう照れるなよ、お前だけじゃない……」

「あぁ、トーマスの言う通りだ」

「あのぅ、上官の食料庫から、お肉盗ってきました」

 と、サシャが剥き出しの肉を持ってやって来た。

「いや……これはいい機会かもしれないぞ」

「はぁ!? グリュックまで何言ってんだよ! もうサシャはこんなんだからいいけどよ」

 エレンは頭を抱える。

「でもさぁ、考えてみたんだけど、もしもマリアを奪還出来たらまた肉を食えるようになるんだぞ? だからその前祝いってことか。……よし、俺もその肉食う!」

「わ、私も食べるから! 取っといてよ……! さあ、作業に戻ろう?」

「……あ、そうだ。コニーはああ言ってたけど、お前はどの兵科を志願するんだ?」

「……調査兵団に決まってんだろ」

 グリュックは顔に暗い影を落とす。

「そ、そうか……一緒に頑張ろうな! お前もあの時シガンシナ区にいたんだよな……お互い、目的を果たせるといいな」

「あ……あぁ!」

「二人とも、早く作業に戻らないと上官にバレちまうぞ!」

「トーマス! 今行く!」

 ────あれから、5年経った。ウォールローゼ・トロスト区の外壁にて壁上固定砲の整備をしていた104期訓練兵のメンバーたち。

「……よし、ここはこれでOKっと」

 !? 

 突然、とてつもない雷がマリア側に落ちた。

「は……? 一体何が……」

 グリュックは振り向く。

「超大型巨人……?」

 それを視認した瞬間、超大型巨人から発せられた上記によって壁上から吹っ飛ばされてしまう。グリュックたちは壁にアンカーを刺し、落下を防ぐ。だが……。

「サムエルが!」

 吹き飛ばされ、気絶してしまったサムエルは重力に任せ、50mもある壁の上から落ちていく。

「……!」

 サシャは落ちていくサムエルの足にアンカーを打ち込み、なんとか落下を阻止する。

「……っし、サシャ! サムエルを壁の上まで運べ!」

「は、はい! グリュック!」

「おい……壁が……壊れてんじゃねぇか!」

「まただ……また巨人が入ってくる……」

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