マンダリン・ストライク
ゴキャァン!と生身の拳とぶつかったとは思えない音がタンカーの上に響く、俺の目の前にあるのはへし折れたマンダリンの再生する腕と、リミッターがかかってるとはいえ押し返されたという事実、すぐさま電磁ワイヤーを3本射出しマンダリンを拘束する。
「この程度……!」
「お前だけおかしくないか?」
電磁ワイヤー3本分の電流にあっさりと耐え抜いたマンダリンは体を超高熱にしてワイヤーを焼き切ってしまった。冗談だろ、エクストリミスって強化段階とかあるの?人を超えた速度で殴りかかってくるマンダリンの攻撃が呆気にとられた俺にモロに入った。ヒデンアロイが赤熱してるが変形するほどではないらしい。だが、変身した俺を殴り飛ばすとは……本当に油断できない。
「なんだ?思ったよりも弱いじゃないか」
「いや、あまりに化け物じみてるからびっくりしちゃってさ。手加減要らなそうだね」
「いーや?何せ見ての通りか弱いからね。存分に手加減してくれていいとも。そっちの方が楽だ」
俺を殴った時にへし折れた腕をプラプラと見せながら気障ったらしい口調で俺を煽ってくるマンダリン。嘘つけお前他のエクストリミス強化兵より明らかに強いだろ。寄りかかってる金属製の手すり真っ赤になって溶けだしてるぞ。確かにこれはトニーさんも梃子摺るわ。ペッパーさんを見つけて焦ってたら猶更。
ゼアに命じてリミッターを半分カットした。俺はそのまま突撃してマンダリンにタックル。壁に押し付けて拘束した。このまま壁にたたきつけ続けてやろうと画策していると。急にパワーが上がった俺に手を拘束されて外せずもがくマンダリンは焦ったのか文字通り顔面を真っ赤にして口から火を噴いた。大丈夫と分かってても生理的な反射で顔を覆って防御してしまう。その隙に蹴り飛ばされた。
「火まで吹けるなんてびっくりどっきり人間だな。大道芸人でもやったら?」
「おいおい、このスーツ見て分からないか?俺は社長なんだ、金にゃ困ってない」
「真っ黒こげで溶けてるよ。マフィアの間違いじゃないかな?テロリストだし」
「確かに言う通りだな、まあそれも今日までだが。俺が死ぬか君たちが死ぬかだ」
「捕まる気は?」
「ないね」
そのままお互いに駆け寄って殴り合いのインファイトに突入する。正直いくら殴っても手ごたえというものがない、ダメージは入っているけどすぐに回復されてしまう。そして、相手の攻撃の威力は俺のスーツを貫通するほどではない。ヒデンアロイがいくら高温になろうとも、ライズアーキテクターにいくら打撃を打ち込もうと、中身の俺まで届かない。だが、相手の基礎性能は当然ゼロワンの中身である俺より高い。
殴り合いでは有効にならないと察したらしいマンダリンは全身を赤熱化させて俺にタックルして押し倒そうとしてくるが、パワーなら俺が圧倒的に勝ってる。そのまま倒されずに持ちこたえて逆にマンダリンを持ち上げて地面に叩きつけてやった。ゲホ、とマンダリンが口から吐いた血が、鉄網の床を溶かす。
「いつまでやる?言っとくけど、お前の作戦は全部台無しだ。大統領は助かったし、強化兵も俺がほとんど拘束するかアイアンマンにやられてる」
「黙れ……!確かにAIMは終わりだ、だが俺はスタークに、やつに復讐するまでは……!」
「トニーさんに何の恨みがあるかしらないけど……どんな理由があろうと今おまえがやってることの正当性の確保にはならないんだよ。というか人を殺す方向じゃなくて人を助ける方向でエクストリミス使えばよかったんだ。なくなった腕が生えたり、下半身不随の人が立てるようになったりするんだろ?」
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