コーポレーション・A
「そんなわけで、どうもアメリカ巻き込んでの面倒事が起きてるみたいなんですよ。短距離ミサイルですよ?人相手に」
『それでもキャプテン相手には不足だったわけだ、なるほど……フューリーと連絡とれないのはそういうわけか』
『俺の方もだ。意図的に情報が寸断されてると見て間違いない。よし分かった、準備しよう』
『だな、とりあえず僕はいまニューヨークにいる。スタークタワーだ、もうすぐアベンジャーズタワーになるけどな』
『スターク、お前今スーツ持ってるのか?』
『生憎、全部燃やしちゃってね。だがまあ、僕にできることをやるさ、なんせ僕は……アイアンマンだから』
トニーさんはクリスマス以降、ペッパーさんとの約束でアイアンマンスーツを作成していない。それでも参加に意欲的なのは、彼自身の覚悟と矜持があるからだろう。
「とりあえずみんなで作戦会議してからでいいですよね?どれだけ食べるんだろうな……」
『キャプテンは大食いだぞハルト』
そうなのか、と考える傍らで俺はパンを焼き、トマトを切り、レタスを千切ってベーコンを焼き上げ、それを次々挟んでBLTサンドを作っている。どんだけ作ればいいのやら……聞けばほとんど食べずにキャンプ・リーハイに行ったみたいだからお腹空いてるだろうしホントに大盛りにしちゃうぞ。並行でポテトサラダのサンドとホットドッグ、タマゴ余ってるし出汁巻き卵巻いてやれ。
トニーさんはニューヨーク、クリントさんはペンシルベニアに今いるらしい。意外と近いな……そう考えると寝室のドアが開いて3人が姿を現した。シャワーを浴びたみたいでロジャースさんもナターシャさんもこざっぱりしてる。俺はスマートウォッチのホログラムを大きくして、立て掛ける。二人が目を見開いた。
「スターク!」
「クリント……?」
『やあ、キャプテン。水臭いじゃないか僕に連絡がないなんて、楽しくお話といこう』
『ナターシャ、連絡ぐらいくれよ。それとも俺も敵だと思ったか?』
「口が暇してたので、連絡付けときました。積もる話もあるでしょうしどうぞ。サムさん、ちょっといいですか?大事な話をしたくって」
「ああ、俺もだ」
スマートウォッチと二人を置いて、俺とサムさんは部屋を出た。サムさんも何となく察しているに違いない、ここ1年の違和感の理由を話すときが来たんだ。嘘をつき続けてきた日々が、終わる。肩の荷が下りると思うか、それとも胃に痛みを感じるか……俺の場合は両方かな。
「サムさん、俺はここ1年ずっと……嘘をついてきました。あのニューヨークの事件に巻き込まれてから、ずっとです」
「……続けてくれ」
「本当は俺……ニューヨークの時からずっと戦ってたんです。仮面を被って、誰にもバレないように。サムさんにもずっとバレないようにしてました」
「だろうな、とは思ってたよ。急に格闘技教えてくれとか言いだしたり、ランニングについてきたりさ。いいんだ、それで。お前は当たり前のことをしただけ、力だけ持ってても、それに見合う立場がなければ面倒事は山ほどやってくる。それを防ぐには、秘密を持つのが一番手っ取り早い。それで?お前はなんて呼ばれてるんだ?」
「ゼロワン……俺がゼロワンです」
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