セット・ハイドアウト・プレイス
「お待たせしました、クリントさん」
「いや、結構早いじゃないか」
「当然だろ、僕が作った車なんだから」
トニーさんを乗せた俺のトラックはそのままペンシルベニアに行き、クリントさんと合流することが出来た。普段着姿ではあるけど、どうやらトニーさんと同じで持ってるトランクケースに装備を纏めて入れているらしい。今はイズがいつも通り無線を傍受しつつ監視カメラを誤魔化して情報収集している。
「キャプテンの方はうまくいったらしいな」
「はい、今はシットウェルという人の確保に向かってるらしいです」
「……シットウェル……思い出したぞ。確か衛星関連の技術者だ。レムリア・スターにも乗ってたはずだ。S.H.I.E.L.D.の表向きの情報だけどな」
後ろに乗り込んだクリントさんがスティーブさんがフライトスーツを奪取したことと、トニーさんは技術者の情報を教えてくれた。レムリア・スターというのはよく分からないけどとにかく3人そろったからこれであとはスティーブさんと合流するだけだ。
「あ、クリントさん。サンドイッチ食べたかったら冷蔵庫の中にあるのでどうぞ」
「僕のついでだけどな」
「一言余計ですよ~」
「仲がいいな、一つもらうよ」
なんかトニーさんにだけサンドイッチ用意してクリントさんにはないのは不公平な気がして彼の分も作っておいたんだけどまあ食べてくれるようなのでよかった。俺の方もスティーブさんの方もうまくいってるのでこのままS.H.I.E.L.D.の本拠地の方に向かった方がいいのかもしれない。
「ああ、そうだバートン。先に渡しておきたいもの、正確には紹介しておいた方がいいものがある。君のご要望のものなんだが……まだ試作品ってことは覚えておいてくれ。これだ」
そう言ってトニーさんがトランクから取り出したのは長方形の黒い箱、手のひらサイズのものだ。それをクリントさんに渡したトニーさんは、黒い箱の上面にあるスイッチを押す。すると箱の中からクリントさんがいつも使っている矢がにゅっと束になって出てきた。
「矢切れについてはこれをいくつか携行することで解決できるとは思うが……今はまだ強度不足でね。普通に矢として射るなら問題ないが、矢じりを付けたり、手に持って直接突き刺そうとすると簡単に曲がってしまうだろう。ギミックを使う時は注意してくれ」
「いや、十分だ。いくつある?」
「とりあえず10個だ、脚につけるホルダーも一緒に持ってきた。改良案があったら終わったら教えてくれ」
「わかった。もしかしてほかのトランクもそうか?」
「ああ、まだ試作品の段階のものばかりだがこの際贅沢は言わないでくれよ?そっちがウィドウので、そっちがキャプテンのだ」
なるほど、プレゼントというのはトニーさんがアベンジャーズの面々のために手ずから作った新装備のことだったのか。おそらくニューヨークのあの戦いで出た問題点を科学で解決できる部分はトニーさんの力で解決してやろうと研究してたものをこの窮地に持ってきてくれたらしい。
トニーさん自身はスーツを作れなかったらしいけど、多分こっちを優先したんだろうなと思ったが俺はそれを言わないでおくことにした。指摘されると多分、この人拗ねるだろうから。
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