激闘!11番惑星空域
太陽系内、火星と木星の間に存在するアステロイドベルトを抜けた宙域。そこでアンドロメダはヤマトを見送っていた。
西暦2201年下旬、宇宙戦艦ヤマトは反乱を起こす。謎の人物からの救援要請を受けたと主張し、ヤマト乗組員達が司令部の制止にも関わらず無断でヤマトを発進させたのだ。
戦闘衛星を破壊し、月にて航空隊と合流したヤマト。それの追跡の為に選ばれたのは偶然にも付近で演習を行っていたアンドロメダであった。
アンドロメダとヤマトは激しい追跡劇を繰り広げ、最終的にはこの宙域にて接触寸前にまでいったものの最後までお互いに発砲する事は無く、その覚悟を見た土方は独断で彼らを見逃す決断をする。
「……」
その様子を、艦長席にて杏は見ていた。
ヤマト乗組員が謎の信号を受け取り、反乱を起こしてまでテレザートへと向かう事を彼女は知っていた。無論、藤堂や芹沢、土方もだ。だが、彼らは状況に身を任せる決断をした。
「何か言いたそうだな、山南一尉」
「……いえ」
「異議を唱えるのも軍人の仕事の一つだ。覚えておけ」
そして、火星で力尽きた彼女はテレサとの接触が地球にどんな利益をもたらすかは知らなかった。
「……私は反対です。この状況でヤマトという強力な戦力が地球を離れる事のデメリットは余りにも大きすぎます」
「そうだな、私もそう思う。だが……」
彼はヤマトが消えていった星の海を見据え、言う。
「……行かせてやれ。沖田の子供達だ」
「……理解出来ません」
「今はそれでいい。いつかお前にも分かる時が来る」
「そうでしょうか」
彼女も見る。既にガトランティスとの戦いは始まってしまった。彼女の知る歴史よりも一年早く。
焦り。それが今の彼女の心境を支配していた。だからこそ、彼女がその土方の言葉の意味を理解する事は出来なかった。今は、まだ。
「土方司令、地球より通信です」
「メインパネルに出せ」
と、その時通信が入り、メインパネルに藤堂の顔が投影される。彼の要件は、第11番惑星の戦闘衛星からの信号が途絶えた、という物だった。
彼は至急アンドロメダによって状況を確認する様指示を出す。だが、彼らにはこの原因が何かを知っていた───ガトランティスによる侵略である。
『ヤマトにも同じ事を伝えてある。彼らに同行し、その原因を調査、もし敵であれば撃退せよ』
「了解した」
現状、軍上層部は地球の危機を信じていない。藤堂や土方ですら、ヤマトが謎の敵による襲撃を受けるまでは彼女の語った"未来"については半信半疑であったのだ。他の幕僚などは信じていない者が大半であった。ヤマトが受けた襲撃も海賊による物であると信じている者が多いのだ。
だが、今回の第11番惑星襲撃がガトランティスによる物であればそれらの者も信じざるを得なくなる。惑星占領ともなれば大規模な戦力が必要であり、確実に証拠が残るからだ。そうなればヤマトの反乱も有耶無耶に出来るかもしれない。アンドロメダを向かわせるのはその証人になってほしいという思惑があるのだろう。
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