ハーメルン
旧き世界で貴方と共に
アンドロメダ 都市帝国攻略作戦

「中央動力炉出力45%まで低下!」
「防御フィールド発生装置の修理を最優先にしろ!」

 都市帝国。数多の波動砲を難なく耐えたかに見えたそれは、しかし実情は凄惨たる物となっていた。如何に長きに渡り宇宙の海を制覇してきた白色彗星といえど、恒星系破壊レベルの攻撃を二度耐えるのは流石に無傷とはいかなかったのだ。
 一度目の波動砲で彗星ガス発生装置に過大な負荷が掛かり使用不能になり、二度目で動力炉に負荷が掛かり出力が大幅に低下させられた。先程放ったビームの威力が低いのもそのせいだ。

「何たる様か……」

 そんな惨状を大帝たるズォーダー5世は苦々しい表情で見つめていた。いつもならば余裕綽々といった態度を見せる彼でもこの状況は看過出来る物ではなかったのだ。

 彼は決して地球の事を見くびっていた訳ではない。他の幹部達が"ガミラスに滅ぼされかけた国"として見下す中、彼は取り得る最高の対応を取っていた───筈だった。
 先鋒として第一機動艦隊を差し向けたのもその一つだ。帝国最大規模の艦隊であるこれをほんの数年前は滅亡寸前であった国家に差し向けるなど通常では有り得ない判断だろう。

 だが、艦隊は全て敗北した。此度の戦闘においても敵に与えられた被害は僅かな物で、しかしこちらの艦隊は文字通り全滅したのだ。
 コスモダート・ナスカ率いる強行偵察空母艦隊も、ゴーランド率いる機動ミサイル艦隊も、そしてつい先程あのデスラーも敗れたとの報告が入った。あの誇り高き武人が、だ。

 自分は無意識下に過小評価していたのかもしれない。あれは領地を持たぬ単一星系国家などではない。あれは───

「大帝陛下、何か御心配されているので?」
「……サーベラーか」

 と、そんな彼に女性が話しかける。黒い長髪が特徴的な女───帝国支配庁長官、サーベラーだ。

「御安心下さい! 奴らは我らの威容に恐怖し、腰を抜かして逃げていきました。直に膝をつき大帝の前へ頭を垂れる事でしょう」
「……」

 この女は果たして正気で言っているのだろうか。都市帝国のこの状況を見て、尚?
 こやつといいゲーニッツといい、先日のデスラーの件などどうにも無能である面が目立つ様になってきたように思えた。そもそも奴らは逃げたのではなく撤退したのだという事は明確だろう、彼は思う。
 そして、撤退時という最大の隙にもこちらは一隻も沈める事が出来なかった。あの巨大戦艦(アンドロメダ)が全ての攻撃を防ぎきったのだ。
 如何に能力が落ちていたとはいえあれだけの攻撃を単艦で防ぐというのはあまりにも無謀で、そして地球という国家がこれまで戦った如何なる敵よりも強大である事の証左に違いない。

 この様な事すらも見抜けないのか。彼ら寧ろこの様な者達を重用した自らの判断を恥じた。
 これまでの自分はどうにも甘過ぎた様だった。この辺りが潮時なのかもしれない───しかし、彼には自らを省みる猶予は与えられなかった。


「と、都市直上、及び直下に多数のワープアウト反応!!」


───────
────



 時は少し遡り、土星沖会戦終了直後。都市帝国の攻撃から何とか逃れた地球艦隊は火星にて作戦を練り直している所だった。

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