地球よ!!ヤマトは帰ってきた!!
「ふむ、外交か……」
「はい。ガトランティス……来るべき脅威に備える為、味方は一人でも多い方が良いのです」
防衛軍司令部。藤堂、芹沢、土方、そして山南などの防衛軍上層部の面々はそこでアンドロメダの話を聞いていた。
彼らは以前彼女から将来訪れる脅威───ガトランティスについて聞き、戦闘中に撮影された動画も観て幾度となく秘密裏に会議が進められていたのだ。しかし、何度シミュレーションを行っても時間断層というイレギュラーが無ければどう足掻いても勝つ事は出来ない、という結論に終わっていた。そこで彼女が提案したのが"外交"である。
「しかし今の人類にとって宇宙人は憎悪の対象だ。そう簡単にはいくまい」
芹沢が言う。ガミラスの手によって人類の半数以上が死滅してしまったのだ。彼らは彼女から戦後にガミラスと地球が同盟を結ぶ、と言われても到底信じられていなかった。実際、彼女が居た世界でも両国の間には未だ深い亀裂が存在していたのだ。
「確かに地球人類のファースト・コンタクトはこの様な不幸な結果に終わってしまいました。しかし宇宙は無限に広がっており、そこには無数の生命が存在しています。その何れとも手を取り合えないと決めつけるのは早計ではないでしょうか」
「ううむ……しかし……」
「こちらの世界と私が居た世界は違います。しかし一度ガミラスと接触してしまった地球がこの先他の星間国家と接触しない訳がありません。いずれにしても外交努力は必須だと考えます」
パラレルワールド。ガミラス艦の形状が違ったりソ連が存続していたりと細かな差異が見られているこの世界の未来がアンドロメダが存在した世界のそれと同じとは限らない。しかし彼女が今言った通り、地球の世界はガミラスと触れてしまった事で確実に広がってしまったのだ。
「だがどちらにせよ今は難しいな。地球には今戦える船はお前と『えいゆう』しか無く、またえいゆうは他の星間国家相手には無力だと証明されたばかりだ。そんな中でお前を宇宙に送り出すのは不可能だ」
土方が言う。
『えいゆう』とは沖田艦の正式な艦名だ。波動エンジンを搭載していないこの艦ではワープも出来ず太陽系を抜け出す事すら叶わない。ガミラス戦役でも敵艦を殆ど傷つける事が出来なかったこの艦では地球防衛には全く役に立ちそうになかった。
「今の地球には波動エンジンを作る技術はあっても資源が無い。そこでお前にある任務を与える」
彼はそう言うと、スクリーンにある物を映し出す。
「これは冥王星外縁部に存在するアステロイドベルトだ。ここは第十番惑星の成れの果てであり、火星と木星の間にある小惑星とはまた別の希少資源が眠っている事が判明している。これまではそのあまりの距離からあまり採掘が進まなかったが……」
「そこで私ですか」
「ああ。お前には小惑星の牽引を命じる。資源が豊富に含まれる小惑星を発見し月-地球間のラグランジュ・ポイントに設置せよ」
月と地球の重力の釣り合いが取れ安定する空間、ラグランジュ・ポイント。そこにはかつてスペースコロニーが設置された事もあったが現在は全て破壊されている。そこに牽引してきた小惑星を設置して地球近郊で採掘するのだ。エネルギーの面でも時間の面でもこの方が効率的であり、光速の99%を出す事が出来るアンドロメダならば従来の地球艦であれば4日かかる地球-第十番惑星間を僅か五時間程度で移動する事が出来るのだ。しかも牽引の必要がある帰路はともかく行きはワープも可能なのである。
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