ハーメルン
某妖怪「超有名冒険譚の主人公が目の前にいるんやが」
10


「い゛た゛た゛た゛た゛!!」
「ジッとしてね!」

可哀想に…………

ガネラこと小鳥は哀れんでいた。

目の前のキズナメコなる妖怪に治療されている、から傘おばけを哀れんでいた。

キズナメコの舌だか唾液だかは消毒作用があるらしく、舐めることで傷を治すことが出来る。

ただ今回は、から傘おばけの傷が()()()()()()()()()為、ちょっと抉って治療する運びとなった。

抉れた傷を舐められるのは、痛いらしい。
自身も幾度となく経験があるが、こういう治療はだいぶ嫌な部類に入る。

小鳥は立ち上がり、治療に使った器具を洗いに行った。
決して、から傘おばけから逃げた訳では無い。無いったら無い。

小鳥が水場でシャカシャカ洗う。
洗剤があれば、もっと清潔に出来るのだが……

「君が小鳥か?」

めちゃくちゃ凛々しい声が聞こえてきて、小鳥は振り向いた。

ネコがいる。
フワフワ浮いていて、マントを着けた、青くて可愛いネコちゃんだ。
ジバニャンの系列だろうか。

…………声掛けてきたやつ、何処?

「から傘おばけを助けてくれてありがとう。」

ネコちゃんからカッコイイ声が聞こえた。
なるほどなぁ……小鳥は納得した。

「礼には及ばないわ。それに、一番の功労者はキズナメコよ。」
「謙遜することは無い。君が傷に言及しなかったら、俺たちは、から傘おばけを埋葬してしまっていただろう。」
「あら」

火葬飛んで埋葬かぁ……

妖怪に葬式は必要なのかどうかは知らないが、きっと要らないだろうな。
小鳥はそう思った。

「冗談だ」

冗談かぁ……
小鳥は考えることをやめた。

「ジョークがお好きなのね。私も好きよ。布団が吹っ飛んだ、とか。」
「そうかそうか!」

どことなく嬉しそうなネコちゃんを見ながら、小鳥は器具の水分を拭った。

「それは何だ?ギザギザしているが……」

[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/5

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析