ハーメルン
某妖怪「超有名冒険譚の主人公が目の前にいるんやが」
11


ケータはめちゃくちゃ疲れていた。

変なドアとか、変な人とか妖怪とかに絡まれまくっていたからだ。

ガネラを探し出すのも一苦労。
恐らく人間に化けているであろう少女を、このだだっ広い世界で見つけるのは至難の業だった。

「もう動けないにゃん……」
「あーもう。そこら辺で寝ないでください……」

後ろでウィスパーがジバニャンを引きずる音が聞こえるが、ツッコむ気力もなく。

「ただいま〜……」

ケータは静かに扉を開いた。
三人一緒に家の中に入る。

途端明るい両親の声が聞こえ、ケータは目を丸くした。

ガネラが消えてから、二日が経っている。
泊まっている友人が帰らないとなって、二人は酷く心配していたのだ。

ケータが今は自分の家にいるらしいよ!と誤魔化してるが……連絡一つ寄越さないのは不信だ。
日に日に疑いは強くなっていった。

だから、二人が元気そうな声を出してケータを出迎えたものだから、ケータは驚いた。
靴を脱いで、トタトタとリビングへ入る。

扉を開くとそこには──

──頭の大きな()()が椅子に座って、両親と談笑していた。

「うわぁッ!」

ケータはギョッとして、咄嗟に大きな声を出す。

クリーム色の肌と、犬みたいな大きな四角い頭が特徴的な妖怪に、見覚えがあったからだ。

「さ、さとりちゃん!?」

心を読む妖怪、さとりちゃんである。

「あら、ケータ知ってたの?」
「まさか小鳥ちゃんの親戚が来てくれるなんてなぁ。小鳥ちゃんが元気そうで安心したよ。」
「そうねえ。今度からはちゃんと連絡するように言わなくっちゃ」

え!?え!?

ちょっと情報が多すぎて、ケータは狼狽した。

このさとりちゃん、ガネラの親戚だって言ってるの?なんで?

ていうか、なんでお母さんとお父さんに見えてるの?
いや、見えてるならなんで変に思わないの?

なんで???????

「ケっケータ!とりあえず上!上の部屋上がってもらうにゃん!パパとママの前だと妖怪の話なんて出来ないにゃん!」
「そ、そうだね……」
「私もそれがいいと思います。」

さとりちゃん、全然妖怪の話に入ってくる。

一人でに「私もそれがいいと思います」などと言ったから、ケータの両親は不思議そうな顔をした。まずい。

この流れで、ケータが妖怪見えることがバレるかもしれない。まずい。

「ちょっと二人で話してくる!あ、お茶いらないから!」
「あ、ちょっとケータ」

ケータはさとりちゃんの腕を引っ張って二階に上がった。
ドタガタドタ階段がすごい音を立てる。

さとりちゃんが部屋に入ったのを確認すると、ケータは勢いよく扉を閉めた。ウィスパーが挟まる。

「あ、ごめん。」

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