14話
太陽の門を通り一人で玉座へ向かう。
行きは人数が多かったのに帰りは寂しいものだ。
「陛下、ただいま帰還しました。」
「キルゲは逝ったか。」
「はい。」
「・・・ご苦労。奴は黒崎一護の足止めという大任を見事果たした。」
「・・・キルゲ先生の役目には意味がありましたか?」
「あった。」
「了解しました。流石に少し疲れたので休息を頂きます。」
「次の侵攻も近い。・・・期待しているぞ?」
「・・・光栄です。全力を尽くします。」
ジュダスが退室した玉座にてユーハバッハとハッシュヴァルトの両名がいた。
沈黙の中、ハッシュヴァルトが口を開く。
「・・・宜しいので陛下?ジュダスは確実に二心を抱いております。」
「構わん。奴がソレを糧に成長するならするで構わない。そもそも私が力を取り戻す時点でどうとでもなる。第一奴には既に枷もある・・・その枷がある限りいくら私に反感があろうとも裏切ることはない。・・・まあ石田雨竜と同様に一応枷をもう一つ増やすか。」
「失礼いたしました。すべては陛下の御心のままに」
コツコツコツ
ジュダスは玉座から退出し、長い廊下を歩く。
外からは平静そのものだが内心はグチャグチャだ。
怒り、悲しみ、安堵。
自分でもよく分からない感情である。
早くリルトットに会いたい。
怪我などしていないだろうか?
ジュダスは少し歩調を速めながら、廊下の丁度半ばで足を止める。
「誰だ?」
「失礼。驚かすつもりはなかった。」
誰かの気配を感じジュダスは足を止め問いかける。
此処には仲間しかいないので襲撃などまず無いのだが、仲間意識の希薄な星十字騎士団ならばワンチャンあり得る。
もし出てこなければ最悪殺すつもりでジュダスは身構えたが相手は普通にその姿を現した。
柱の影から姿を現したのは聖文字「X」リジェ・バロだった。
ジュダスは正直驚いた。
自分の銃を作成する際に少し話したことがある程度だったリジェ・バロが話かけてくると思わなかったからだ。
彼はキルゲ同様陛下への忠誠心が篤く、絶対の攻撃力と防御力を併せ持った最古参である。
陛下の最高傑作とマウントを取りたがる悪癖があるため他の星十字騎士団からは煙たがれているがジュダスとしては欠片も羨望の気持ちがないため普通に接している。
「キルゲが亡くなったそうだな。」
「はい。」
「彼が亡くなったのはボクとしても残念なことだ・・・。だが陛下の命を達成した結果のことだ。彼も本望だろう。」
「・・・はい、ありがとうございます。」
「ジュダス、君も師の名を汚さぬよう陛下の御為に励むことだ。」
「はい。全力を尽くします。」
「ならいい。おそらく数日後には再侵攻が行われる。英気を養うことだ。」
リジェ・バロはそう言うとジュダスの脇を通り過ぎ玉座へと歩いていく。
「ありがとうございます。」
「ああ」
ジュダスはその背に礼の言葉を投げる。
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