師匠?と弟子?
私は久しぶりに魔法大学の入学式に顔を出した。
校長に出てくれないかと言われたことはあったけれど、一度も受けたことは無かったわね。
アリシアとエミリーが入学した時は顔を出したけど、ただ見に行っただけだしね。
今回は校長から演説か挨拶を出来ればして欲しいと頼まれたけど、面倒だから断った。
私としてはルディの入学式を見に来ただけなので、面倒なことはしたくない。
校長が演説しているのを聞き流して終わるのを待つ。
「風魔法を使い過ぎると禿げるって噂、本当なんですかね?」
「デマに決まっているでしょう。ねえ、エルシア様」
校長が必死にカツラが飛ばないように抑えているのを見てエミリーが、アリシアに視線を向けて問いかけて来る。
そんなエミリーにアリシアはジトっとした目を向けて返し、私に同意を求めて来る。
「まあ、デマでしょうね」
「ほらね」
「そうですか」
エミリーも信じてはいないのでしょうけど、アリシアをからかうために聞いたのかしら?
二人とも暇なら遊びに行っても良かったのだけれど……まあ、いいか。
それにしてもナナホシ発案の制服、皆が同じ服装をしていると統一感があるわね。
同じ服装をしていると、仲間意識が湧くのかしら?
「エルシア様、制服に興味があるのですか?」
「そういう訳じゃないけど、統一感が出る以外に制服に意味があるのかなって」
「さあ、私も着たことはないので、分かりません」
「魔法大学の生徒だと一目で分かるとかじゃないですか」
「制服を手に入れられたら、誰でも簡単に侵入出来るようになりそうね」
「まあ、教師陣もそこは理解しているのでは、ありませんか?」
「かもしれないけど、一応警戒するように言っておいて」
「分かりました」
私達が制服について話していると、校長の話が終わった。
校長の次は、アリエル達が壇上に登る。
彼女達が壇上に上がると、生徒達がざわざわとし始める。
アリエル達って人気なのね。
アリエルの話も聞き流していると、入学式が終わりルディは特別生の教室に移動した。
ルディと昼食の約束はしたので、私は図書館に向かった。
アリシアとエミリーは、入学式を見に来ただけの様で街へ買い物に行った。
図書館で読んだことがない魔術の本を見つけ、椅子に座って読んでいるとルディがやって来た。
「姉様、ここにいたんですね」
「ええ。魔法大学で時間を潰すなら、ここがちょうどいいもの」
「そうですか」
ルディは、何か考えるような顔をした後、真剣な顔で私を見て問いかけて来る。
「姉様は、転移事件について何か知っていますか?」
「…………」
何て答えようかしら?
大まかには知っているけれど、詳細は知らないのよね。
仮説はあるけれど、正しいことも証明できてないし、下手に話してナナホシに伝わって欲しくない。
彼女はルディの命の恩人だし、下手なことを教えたらルディから彼女に伝わる可能性が高いのよねぇ。
まあ、家族の無事は確認できているし、話さなくても良いわね。
「悪いけど、実際に巻き込まれたルディが知っている以上のことは知らないと思うわ」
「そうですか。では、転移について調べたいのですが、何かいい本はありませんか?」
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