王女と護衛
新居に引っ越して数日経った。
魔法三大国と魔術ギルドの技術の粋を集めて作られただけあり、物凄く快適に過ごしている。
家具の全てが高級品な上に、何らかの魔術が施されている。
研究室の椅子は、長い時間座っていても疲れが溜まらないし。
リビングのソファーは、柔らかくて横になればぐっすり眠れそう。
ベッドは、私一人が寝るにしては異常に大きく五人くらいは余裕で寝れる上に、疲労を取る治療魔術が施されているため、気絶するほどの疲労も次の日には綺麗に消えるほどに快適に眠れる。
その中で一番快適に過ごせるのは、お風呂ね。
「あぁ~~、気持ちい~」
アリシアとエミリーに身体と髪を洗われて湯船に浸かる。
お湯で身体が温まるだけでも十分に気持ちいが、浴槽に描かれた魔法陣の治療魔術の効果で、疲労がお湯に溶けるように抜けていく。
今まで倒れるまで研究することで疲労が抜けないのが当たり前だった。
お風呂も意識が無いような状態で、アリシアとエミリーに身体を洗ってもらうことが日常的にあった。
新居に引っ越してからは、お風呂に入るだけで疲労が全て取れる。
おかげで研究がはかどる。
「凄く気持ちよさそうですね」
「ええ、このまま熟睡出来そうなくらい気持ちいいわ」
「普通の家が良かったのでは?」
「まあ、普通の家で良かったんだけどね。実際に住んでみると、恐ろしいくらい快適だわ。もう普通の家には住めそうにないわ」
こんな贅沢な生活を止めるのは無理そうね。
まあ、贅沢な生活を送るためにかなりの魔力が要求されているけどね。
このお風呂だって、中級魔術並みの魔力量が必要になる。
アリシアとエミリーは普通に家事をしているが、家事の道具も全て魔道具のために家事をするだけで魔力が必要になる。
この家を二人で管理できているのも魔道具のおかげではあるけど、消費する魔力量はそこそこ多い。
私達だから問題なく快適に過ごせているだけで、普通は快適に過ごせないとエミリーが言っていた。
魔法大学内でもずば抜けて高い魔力量の私達が特別なのでしょう。
「まあ、私達二人で管理するのにも、この家の方が助かりますしね」
「魔力で楽に管理できるのは本当に助かるわよね」
「本当に、楽してこんな良い暮らしが出来てお金も貰えるんだから、最高よね」
「まあ、魔術師としてかなり鍛えられたからね」
「別に、基本的なことしか教えてないわよ。魔術師として一人前になりたいなら、自分なりに魔術を研究することね」
「あれで基本なんですね……」
私の言葉に二人は苦笑しながら呟くように返してくる。
そもそも私は二人を魔術師として育てた覚えはない。
魔術は教えたけど、それは私が教えられる自衛の手段なだけだしね。
一人前の魔術師になりたいなら、多少の協力はするけれど、二人にはこのまま従者で居て欲しい。
「自分なりの魔術の研究というのは、エルシア様みたいな研究ですか?」
「あんな研究しないと一人前になれないのはおかしいでしょう」
「私みたいな研究をしなくてもいいわよ。得意な魔術を自分なりに改変したり、混合魔術を考えたりすればいいわよ。無詠唱なら改変もしやすいでしょう」
「自分なりの改変ですか……」
「混合魔術を作るとなると大変なのでは……」
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