USJ襲撃事件(後)
この場に残った生徒は私を入れても6人。
14人がどこかに転移させられてしまった。
大急ぎで周囲の波動を確認していく。
個々の状況はとりあえず度外視して、範囲内に皆がいるのかをまず確認する必要がある。
感知はすぐに終わった。
14人、全員USJの中に飛ばされているようだ。
「皆は!?いるか!?確認できるか!?」
飯田くんが正面のモヤの異形を見据えながら問いかけてくる。
既に感知は終えて最低限の無事の確認だけは済んでいる。
障子くんも既に感知を終えていたようだ。
「ん……皆USJの中にいる……」
「散り散りにはなっているが、無事だ」
感知ができる個性持ち2人からのお墨付きに、飯田くんは少しだけ安心したようだった。
「……委員長!」
「は!!」
私たちがやり取りしていた間も考え込んでいた13号先生が、飯田くんに声をかける。
方針を決めたらしい。
私も、その思考通りの方針なら賛成だ。この場で取れる唯一の解決策だと思う。
「君に託します。学校まで駆けてこの事を伝えてください」
伝えられた作戦に、驚愕の表情で飯田くんが固まった。
「警報鳴らず、そして電話も圏外になっていました。警報機は赤外線式……先輩……イレイザーヘッドが下で"個性"を消し回っているにも拘わらず無作動なのは……おそらくそれらを妨害可能な"個性"がいて……即座に隠されたのでしょう。とするとそれを見つけ出すより君が駆けた方が早い!」
明らかに納得しかねる様子だった飯田くんに、13号先生は理由を細かく説明していく。
だけどその説明を受けても飯田くんが納得した様子はなかった。
「しかしクラスを置いていくなど委員長の風上にも……」
「行けって非常口!」
そんな飯田くんの肩を砂藤くんが掴んで、説得し始めた。
「外に出れば警報がある!だからこいつらはこん中だけで事を起こしたんだろう!?」
心が揺れ動いている。この感じなら、畳みかけるように説得して納得させるべきだ。
「ん……この中で、飯田くんが一番早く助けを呼びに行ける……飯田くんの足なら振り切れる……」
「救うために"個性"を使ってください」
「食堂の時みたく……サポートなら私超できるから!する!!から!!お願いね委員長!!」
私の説得に、13号先生とお茶子ちゃんも続いて説得してくれる。
そして、恐怖に身体を震わせながら笑顔を浮かべるお茶子ちゃんの説得を受けて、飯田くんの表情が変わった。
「手段がないとはいえ、敵前で策を語る様な阿呆がいますか」
睨み合いに飽きたのか、モヤの異形がまた大きく広がった。
「バレても問題ないから語ったんでしょうが!!」
それを受けて13号先生は宇宙服の指先を開き、個性を使い始める。
その瞬間、先生の真後ろの辺りから悪寒が走った。
「ダメっ!先生、個性……止めてっ!」
「なっ!!?」
私の声に反応はして、13号先生はすぐに個性を止めてくれた。
だけど、個性を止めると同時に、先生の真後ろにモヤが広がった。
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