ハーメルン
【カオ転三次】マイナー地方神と契約した男の話
第16話 馬背神社異界探索

修行用異界低層の最深部でやや格上相手と戦っているうちに、Lv10にレベルアップした。
【黒札俺たち】にはだいたいLv10を境にしたレベルアップの壁というものがあり、自身は引きこもりで式神に修行用異界へ行かせるだけでは、この壁で成長が頭打ちになる。そのためこの壁を乗り越えた黒札はある程度の修羅場を潜ったとみなされ仲間内からの扱いも変わる。
俺もミナミィネキ、スタンクニキ、ドクオニキらスケベ部の有志から祝いの言葉とプレゼントを貰った。大体は消耗品かエログッズだったが、ミナミィネキから頂いた封魔管(脆)は急速な戦力増強を欲している俺にとってとても有難いものだった。やはりミナミィネキは気配りできる佳い女!
なお、封魔管を使う悪魔との契約は、COMPと異なり悪魔との契約をがっちがちに縛るものではないので、悪魔の機嫌次第で使役手が襲われることが普通にある。ショタオジはそれを嫌ってCOMP推奨しているが、現時点でCOMPは一部の黒札が開発中であり黒札一般にはまだ出回っていない本作の時系列は半終末前、ガイア連合がCOMPを入手するのは「★俺の天使が神ぴょいスレ 26羽目」によると半終末後。ミナミィネキからは、手に負えないと思ったら悪魔娼館(うち)で引き取るから仲魔にするなら人型悪魔を、と言われており、アフターサポートまで万全だ。

*

十月後半になり、スキルカード作成とダンジョンアタックで稼いだ分で装備を充実させ、いよいよ馬背神社の異界探索に着手することにした。まずは異界の入口近辺を探索し、出現する悪魔や地形マップの情報を揃えることが今回の目標で、ボス討伐はよほどボスが弱くない限り行わない。

レンタカーでミニバンを借りて装備品や消耗品を積み込み、山梨県から長野県までドライブ。親にはオカルト関係のことを伏せているので、今回は実家には顔を出さない。そのため宿を上田市別所温泉に取った。
この別所温泉は馬背神社のある浦野地区からは峠一つ越えた所にあり、自動車で15分の距離である。また別所温泉は霊地であり、共同浴場『大師湯』には平安時代に北向観音を建立した円仁慈覚大師が好んで入浴した、安楽寺の木像が夜な夜な入浴した、といった伝説が残っている。
温泉宿で<ヒメ>といちゃいちゃして英気を養った後、日が傾くころに馬背神社に向かう。さすがにオカルト装備をフルセット着用して白昼堂々と歩くわけにはいかない。
現地に到着したらまずは神社に参拝し、以前と同じようにお神酒をお供え。その後、いったんミニバンに戻って武器防具を着用し、人目を避け宵闇に紛れて異界入口へと向かう。

「平田君、なんというか、こう、近代的な装備だね」
「これは【デモニカ】です、聞いたことありませんか?」

地元霊能組織から見届け人として宮下のおじさんが来たので挨拶する。
今回デモニカを持ち出したのは、【マッパー】と【デビルアナライズ】のためだ。それを別手段で解決できるなら、こんなクソ重いスーツなど着用しないのだがな……

「今日は入口周辺の探索に留めるつもりですが、丸一日経過しても俺達が戻ってこないようなら、【ガイア連合】に連絡してください」
「分かった、武運を祈る」

俺は<ヒメ>と視線を合わせ、互いに軽く頷いてから馬背神社の異界へと突入した。


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