ハーメルン
【カオ転三次】マイナー地方神と契約した男の話
第18話 馬背神社異界攻略・伝承再現

彼女は俺の兄と小学校の同級生だったので、ご近所付き合いで小さいころから世話になった人だが、彼女も霊能者の家系だったのか…… 父親と同じで霊能の才能はロバと評される程度だけど。

「今回の突入では、なるべくボス討伐を目指します。俺達が逃げ帰るようであれば、ガイア連合から助っ人を募って三月ころに再突入のつもりです。万が一、俺達が戻ってこなかったときは」
「そのときはこちらがガイア連合に連絡する、だね。そうならないよう武運を祈るよ」
「ありがとうございます、行ってきます」

俺と姫は、軽く会釈してから異界へと突入した。

*

馬背神社異界の中は、二か月前の前回突入時と変わりなかった。ただ、今回は俺達を出迎える存在がいた。

「ブルルッ」
「馬か。サラブレッド…… じゃないな、大きさとしてはポニーの部類、日本在来種の木曽馬か?」

ずいぶんと大人しい。俺がそっと手を伸ばして首筋を軽く撫でたが、俺にされるがままだ。

「主様、ただの馬ではありませんよ、私の先輩です」
「<ヒメ>の先輩って、あっ、異界ボスの座を追われた馬背神の分霊か?!」
「ブルルルッ」
「『失礼な!』だそうです」
「いや、通訳しなくても今のは分かる。無遠慮な物言いでした、すいません」

頭を下げて謝罪したところ、馬背神(分霊)は許してくれた。しかし、【アナライズ】するとLv5しかないよ、この馬。ボスの座を追われたとき、一緒に力も失ったのだろう。

「ブルルッ」
「ボス討伐を支援してくださるそうです! 心強いですね!」
「ああ、今日は雑魚討伐は行わず、真っ直ぐボスの所に直行して討伐の予定だからな、じゃあ行くよ」

俺達はRPGで魔王城に単騎乗り込む勇者パーティのごとく、いうなればボス暗殺計画を遂行するのだ。余計な消耗はしないでなるべく忍び込む方針で俺達は進む。

*

「北向観音の加護、マジ凄い」

道中で鬼が何度か出たのだが、俺の獲物である小烏丸レプリカが北向観音の加護を得て破魔の力を宿している。一緒に参拝した<ヒメ>の獲物には、俺のには劣るがこちらも破魔の力が宿っている。ゲーム的表現なら巴の薙刀+1と小烏丸レプリカ+5くらいだが、小烏丸レプリカは小刀なので基礎ダメージでは薙刀に勝てず、最終的に与えるダメージは同じくらいだ。
それでもばっさばっさと敵を薙ぎ倒し、長い石段を登って馬背神社境内に該当する山中の広場に到着すると。そこに待ち構えていたのは馬頭鬼ではなかった。

「よくぞ参った余五将軍平維茂の異名、此度こそ(わらわ)の屈辱晴らして見せようぞ」

十二単を纏った美女がいるんですが? アナライズすると【鬼女紅葉】って名前なんですけど?
Lv20で物理耐性、破魔弱点、呪殺無効。馬頭鬼と耐性違って用意したブフストーンが無駄になったんですけど?

「ふふふ、妾の美しさに声も出ぬか、()い奴よの」

なんだよ、源氏ニキの酒呑童子討伐と同じ、伝承再現かよ! というか、源氏ニキの話を後追いしまくって恥ずかしくないのか作者!パクリではない、リスペクトだ

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