ハーメルン
東方化物脳 Re:make
諏訪信仰の蛙 Ⅱ 『神格』

「神になれって言われてもな。俺は人間のままが良いし、人間っていいなだし。」
「そこをどうにか!!」

 神になってくれと神に頼まれたのは、おそらく地球上で俺一人だろうな。しかしながら、俺を神にすることで、彼女にどのような利益があるのだろうか。神についてはあまり詳しくは無いため、予想があまりつかない。 

「なんで俺を神にしたいんだ?」
「神は多い方が信仰が増えるんじゃないかなって。ダメかな?」

 それで果たして信仰心が強まるのかは疑問だが、とりあえず目的は分かった。俺としても、やることが無いため特に断る理由もない。
 永琳がいる月に向かうには、人手も能力も足りないのだ。前の種族に戻ればいい話ではあるのだが、その元の種族すら分からない。宇宙を彷徨うことの出来る種族など、調べても出てこない。というより、天文学的な数値が出てくる程には、そんな生物は存在しないとすら言えるぐらいなのだから。

「じゃあ、500年程度なら良いよ。」
「本当に!?ヤター!」
「でも、何の神をやれば良いんだ?」
「あ…」

 どうやら、考えていなかったようだ。諏訪子の無計画さが少し面白く、少し笑ってしまった。諏訪子はそれに口を膨らませて怒っているぞと分かりやすく表現してくれた。本当に面白い子だ。

「それじゃあ、『細胞の神』ってのはどうだ。」
「お~、良いね!でも、細胞って何?」
「え?」

 神には細胞の概念はないのだろうか。しかし、永琳や部下達は皆知っていた。それだけでなくとも、都に住んでいた一般の人間も常識的に知っていた知識だ。だというのに、どういうことだ?
 都の人が何もかものデータを持っていったとしても、そんなすぐに忘れられるものでは無いだろう。

「なぁ、諏訪子が生まれる前に起きた大規模な爆発って、どれぐらい前の話だ?」
「あ〜、一億年ぐらい?」

 その言葉を聞いた瞬間、視界が歪んだ。一億年だと?俺は一億年もの間、眠りこけていたのか?月には穢れがないため、永琳は生きているだろうが、それにしても、一億年も彼女を待たせてしまっているのか。 

「え、どしたの。」
「いや、な、なんでもない。それより、細胞が何なのか、だよな。」
「あ、うん。」
「細胞というのは…」
 
 そこから10分程の軽い説明して、なんとなく理解したようだ。腕を組みながら深く頷き、俺の話を真剣に聞いていた。

「へ~、面白いね。それで『細胞の神』だっけ?カッコイイじゃん。」

 ちゃんと伝わったようで何よりだ。自分の中で常識的なことを説明するのは意外と難しいからな。

「ところで、諏訪子も神なんだよな?」
「もちろんですとも。」
「じゃあ、もちろん強いんだよな?」
「まあ、人並み…じゃなかった、神並みには。」

 言い淀むことなく、堂々と答えた。それならば神力を感じとれなかったのは、どういうことなのだろうか。

「そうか、それなら軽く諏訪子と戦ってみたいのだが、良いか?」
「いいよー。」
「よし、じゃあ早速…」

 言葉の途中で俺は辺りを見渡す。木の匂いがするこの建物で戦いは、流石に気が引ける。というより、最早無礼の域を超えている。

「ここじゃ、ダメだね。違う所でやろうか。」

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