ハーメルン
【鬼滅×葛葉ライドウ】デビルサマナー 葛葉ライドウ 対 鬼殺隊岩柱 悲鳴嶼行冥
第七章 最強の隊士、その眼《まなこ》で真実を見据える
――一方、その少し前。
悲鳴嶼
(
ひめじま
)
行冥
(
ぎょうめい
)
の握った手はわずかに震えていた。目の前の少年――身につけているのは衣擦れの音から隊士服だ、声に聞き覚えはないが、悲鳴嶼とて全ての隊士を知っているわけではない――の言葉を聞いて。
自らの弟子、
不死川
(
しなずがわ
)
玄弥が死んだと。目の前の、葛葉ライドウと名乗る男に殺されたと。
「それは……本当か」
少年は――どこか抑えたような低めの声で――叫ぶ。
「当たり前です、早くそいつを殺して下さい! いや……とにかく離れて! 危険です、他の隊士もやられた、仲間のふりをしていつの間にか混じってた、そいつに!」
ひび割れた数珠をかけた手を合わせ、南無阿弥陀仏と唱えた後に。悲鳴嶼は口を開いた。
「落ち着け。……君とて隊士となって年月が経っているのだろう。ここで行方知れずとなった隊士、全てを把握しているわけではないが……不死川が若い他は
手練
(
てだれ
)
揃い、そう聞いている」
わずか口ごもった様子で少年は答えた。
「
手練
(
てだれ
)
といえるかはともかく……ええ、まあ」
ライドウが口を開く。
「聞いて欲しい。その者こそが敵……自分が討つべき悪魔、そしてあなたの仲間を――」
「黙れ」
無表情に言い放った後、悲鳴嶼は少年に向き直る。
「……さて。落ち着いて答えて欲しい、思い違いがないように。他の隊士は皆殺された、そう言ったな」
素早く少年の返事が返る。
「はい! だから言ってるでしょう、奴に――」
「落ち着け。……殺された中には私の弟子もいた、そうも言ったな。黒髪が
鶏冠
(
とさか
)
のように逆立った少年――間違いないか」
「はい、そうです、シナズガワの奴も――」
拳を握り、悲鳴嶼は言う。
「確認する、復唱してくれ。シナズガワ ゲンヤ、品川の
品
(
しな
)
に津軽の津、流れる川に元気の
元
(
げん
)
、弓矢の矢。この名の者で間違いないか」
少年は声を張り上げた。
「はいっ! 品川の
品
(
しな
)
に津軽の津、流れる川に元気の
元
(
げん
)
、弓矢の矢! 『
品津川
(
しなづがわ
)
元矢
(
げんや
)
』に間違いありません!」
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