ハーメルン
とある英霊の一方通行
近づく異世界

(───────いや)
一つだけ思い当たる所があるが、それは確実に否定しておく。
何せ、出会ってから二日程度だ。
言葉を交わしたのも所詮は数時間。これで本当に考えている通りの事だったら、自分はとんでもなく甘い人間だと理解してしまう。
正直、それだけは無いと思いたい。
(……止めだ。考えても意味なンかねェ。ンなモンはアイツらだけで十分だ)
と、廊下から足音が聞こえた。
「セイバー、お待たせ」
ガラ、と襖が開かれる。
案の定、足音は衛宮のものだった。
「いえ。それで桜の容態は?」
「意外と大丈夫そうだったよ。多分だけど、ただの風邪みたいだ」
よかった、とセイバーが安心する。
が、一方通行は少し疑問に思うところがあった。
(壁に顔面から激突したり、いきなり倒れたりしてンのに、ただの風邪だと? マジで言ってンのか)
真相は分からない。
もしかしたら、本当にただの風邪だった可能性もある。たまたま別の要因で具合が悪くなっていて、そこにプラスで風邪をひいたという線も何となくあるにはあると思う。
だが、どうにも納得いかない。
根拠はない。
ただの勘のようなモノだ。
「そうだ。アクセラレータ、俺たち今から巡回に出かけるんだけど、良かったら─────」
「行かねェ。同じ事聞いてくンな」
二人揃って、何故そうなる。
こちらもこちらで、やるべき事があるのだ。
それも、とっても面倒な。
「……そっか」
衛宮がセイバーと目を合わせると、一方通行の言葉がどういう意味なのか察する。同じ事を聞いてしまった事実に、衛宮が何故か申し訳なさそうな顔をしていた。
「じゃあ、行ってくる」
そして、居間から廊下へと出ようとする。
が、
「オイ、ちょっと待て」
と、一方通行が衛宮を呼び止めた。
「? どうした、アクセラレータ」
衛宮が不思議そうに振り向いた。
正直、訊く意味があるとは思えない。
これで名前を知っているならば、大きな成果だと思う。だが、一目見たところ中々に周到な人物なのが伺えた。
これで衛宮が知っていたら、少し笑ってしまう自信がある。
たが、それでも一応訊くことにした。
「お前、間桐って名に聞き覚えはねェか?」
「──────え?」
その一方通行の質問に、衛宮が小さく呟いた。
一方通行はその反応に眉をひそめる。
それは衛宮が知らない事に疑問を思ったからでは無い。衛宮の反応が明らかに知らないと言った雰囲気ではなく、何処か困惑しているかのような反応だったからだ。
そして、


「─────間桐って、桜がそうだけど。……間桐桜」


「────────は」
一ミリたりとも、笑えなかった。



________________________________________________




「……………」
一体、何だったのか考える。
一方通行の質問の意図が分からない。
何故、間桐という名前を訊いたのか。
『桜の名字は何か? 』と訊くならば分かる。
だが、一方通行は『間桐という名前に聞き覚えはあるか?』と訊いてきた。
普通に考えておかしい。

[9]前 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:2/5

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析