ハーメルン
とある英霊の一方通行
一方通行


キィィン!! という耳が痛くなるほどの金属音が耳に届く。
教会から歩き始めて大体二分ほど経っていた。別に能力を使っての移動も出来るのだが、今はバッテリーを残しておきたい。
と思うが、その気になれば音の発生地へ着くのに十秒もかからないだろう。
だが、せっかく能力を使って移動したのに、音の理由が建物の工事をしていました、なんてものだったら怒りでさっきの神父を殺してしまうかもしれない。
その時、コツ という音と共に一方通行の足元に何かが落ちてきた。
「あァ?」
落ちてきたものを屈んで拾ってみると、それは指先程度の大きさの小石だった。
(なンで、石なンかが上から降ってきやがる)
一方通行は意味が無いと思いながらも、暗闇が広がっている空を見上げた。
案の定、原因など分かるわけもなく、ただの時間消費にしか過ぎない。
「くっだらねェ」
そう呟くと、一方通行は持っていた小石を横へと放り捨てて、再び歩き始めた。
しかし、


ゴンッ!! と視界の右側に何かが落下したからだ。


「!!」
一方通行は即座に身を屈めながら、左手の人差し指を首元のチョーカーのスイッチへと指を乗せる。
「何だ……」
音源へと目を向けると、かなり大きな物体が落下したのか砂煙が立っていた。だが、砂煙はすぐに空中へと消えて行く。
物体の正体は先ほどと同じ石だった。
ただ違うのは、その大きさだ。
先ほどの石は指先程度の大きさだったが、今回のは人の上半身ほどの大きさがあった。重さは優に二〇〇〇キロは超えているだろう。それが上から降ってくるのだから、工事なんてモノじゃないのが分かる。
「ただのお遊戯会じゃなさそうだな」
未だに鳴り続けている音から察するに、発生源はすぐ近くだろう。
一方通行は坂の下側へと目線を向ける。
どうやら、このまま坂を下っていくと開けた場所に出るらしい。
用途はよく分からないが、ピクニックをしにくる連中が多そう、というのが第一印象だった。
そして、今は木などに隠れてよく見えないが、一方通行から見て左側、まるで展望台のような場所にオレンジ色の火花が散らばっているのが見える。
「バカみてえェにどんぱちヤリやがって」
カツ、と現代的な杖をつきながら坂を下っていくと、再び指先程度の小石が一方通行の近くに落ちた。
だが、そちらへと見向きもしない。
杖に体重をかけながら坂を下るのが思ったよりも難しく、転ばないように気をつけながら慎重に足を動かす。
(ミサカネットワークは機能している。能力はさっきも問題はなかった)
爆心地への距離は、およそ一〇〇メートルは切っていた。
恐らくだが、ここからは戦闘になる。
負ける可能性は低いだろうが、警戒はしておいた方がいい。
ここ最近、『反射』を突破される事が多々あったので一方通行はあまり油断出来なくなっていた。
といっても、一方通行の『反射』を正攻法で突破できる人間なんて世界中でも片手の指で数えられる程度しかいないだろう。
木原数多やレベル0の少年などは例外中の例外と思っていい。
ただし、エイワスという存在が出てからは話が変わってくる。
(アイツも例外で間違いねェだろうが、やはり引っかかる)
エイワスという存在は何か小細工をする事もなく、『反射』を突破してきた。

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