世界の真実
「ハァ、ハァ、ハァ……!」
赤髪の少年、衛宮士郎は、遠坂とセイバーと共に全力で夜の街を駆けていた。
(なんなんだ、一体!?)
内心、悪態を吐く。
それは先程の戦いを思い出しているからだ。
(あんな化け物共と、まともに殺り合っていたら命が幾つあっても足りないぞ!)
あの白い少年────あれもサーヴァントなのだろうか。
単純な疑問だ。
だが、それがどうも気になる。
「遠坂……、ハァっ、ハァっ…!───あの白い奴もサーヴァント、なのか?」
走りながら喋ったせいで、体力が奪われる。
後ろを走っている遠坂も同じように息を乱しながら走っていた。
「そんなの知らないわよ! でも、あのバーサーカーと互角だったのなら、そういう事じゃないの……」
あのバーサーカーと互角。
まだ、バーサーカーの事は詳しくは知らない。
だが、遠坂曰く単純な能力だげならセイバー以上らしい。そんなバーサーカーと互角に殺りあえる、白い少年の異常性も何となく分かるだろう。
「ハァ、ハァ───、一旦、休もう」
かれこれ三分は全力で走った。
辺りを見回してみると、どうやら公園の敷地内に入っているらしい。公園の広さは大体、大きめの遊具が三つある程度だった。
その公園の屋根が付いているベンチに向かって、歩く。衛宮と遠坂は隣になって腰を下ろすが、セイバーだけは立ったままだった。
「───セイバーも座ったらどうだ?」
「心配はいりませんマスター。貴方は自身の事だけ考えればいい」
そう言われて黄色の雨合羽に隠れたセイバーの顔をよく見ると、疲れを顔に出すどころか息すら乱れていなかった。
(サーヴァントって凄いな)
と、安堵感からか小学生のような感想が出てくる。
セイバーのいう通り、今は自身の心配だけをしておく事にした。
(─────警察?)
夜に響く警察のサイレン。
赤い回転灯を光らせながら、三両の列を作ったパトカーが公園の敷地外の道を通っていく。
見つからないよう身体を隠そうとする衛宮だがどうやら、ここは死角になっているらしく、パトカーは止まる事はなく通り過ぎていった。
「あれだけ爆発が起きれば、そりゃあ警察も動くでしょうね」
遠坂は、つまらなさそうに呟く。
「なぁ、遠坂。警察が動いているけど、これって大丈夫なのか? もしも、さっきの奴やバーサーカーが、まだいたとしたら」
「まあ、間違いなく警察は皆殺しにされるでしょうね。でも、爆発音は聞こえないから戦闘は終わったと思って問題なし。戦闘の痕跡は勝手に隠蔽工作されるだろうから私達が気にする必要はないわ」
「……そっか」
『皆殺し』という言葉が引っかかるが、実際にここには爆発音などは一切聞こえない。あれだけの戦いを繰り返しているのらば、街中に聞こえてもおかしくない筈だ。
それでも聞こえないという事は、そういう事なのだろう。
「─────」
「─────」
無言の時間が流れた。
話す事が何もない、という訳ではなく、重度の疲労から来る沈黙だった。
(正直言って、今すぐ寝たい)
今は深夜と呼ばれる時間だ。
普通に考えて、こんな時間に外に出歩く事は間違っていると思う。
警察に見つかったら、一瞬で補導確定だ。
その時、ガチっ、という金属の音が耳に入った。
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