ハーメルン
御金様が好きで仕方がない地球防衛軍女性准将が、借金を背負ったので自分を救うために職権乱用の限りを尽くすスペースオペラ
アラハ級巡洋艦レゼングラース
≪火星・地球圏の中間宙域。
EDSF002-334
(
アラハ級レゼングラース
)
艦橋≫
EDSFの新型艦アラハ級巡洋艦レゼングラースは、これまでの訓練の総仕上げとして、2隻巡洋艦による対艦訓練デスマッチのために、その黒塗りの艦影を
WP
(
ウェイポイント
)
に漂泊していた。
窓のない電磁ディスプレイで囲まれたEDSF艦の汎用艦橋。平時体制を示す青の床下照明で照らし出されている。
限られた
航宙士
(
オペレーター
)
の定時報告以外は、些末な端末の起動音だけが静かに響いていた。
一際、青く縁取られたリンクシートに、特殊スーツを着込んだ
コハク少尉
(
操舵手
)
が背を預けている。
ヘッドギアを深々とかぶった薄紫色のショートヘアに清楚なコハク少尉の緊張した表情が隠され、誰も窺い知ることは出来ない。
なにせ、相手は、シャロン准将の巡洋艦なのだ。何をするかわかったものではない。下手すると、性能テスト名目で茶目っ気出して実弾を使用する可能性すらある。
薄っすらとにじみ出る。そう覚悟しつつコハク少尉は異様な喉の乾きを感じていた。
「訓練開始10分前です」
艦橋の士官が訓練開始の時間を知らせると、巡洋艦レゼングラースが一気に騒がしくなる。
『こちら艦橋。これより、戦闘訓練を開始する。総員戦闘配置』
艦橋から全クルーへ艦内放送が
下令
(
かれい
)
され。艦内の床下照明が青い平時から、淡い赤の戦闘態勢へと切り替わる。
自動航行システムにより、慣性航行を行っていたレゼングラースの指揮権が、通常操舵手から、特殊操舵手コハク少尉へと委任される。
「
これより、コネクト管制へ
(
クリアランス・フェアリーシステム・
)
と移行します
(
チェックリスト
)
」
コハク少尉が艦隊と接続を開始する。
「
接続開始。
(
イグニッション・フェアリシステム
)
ホスト。
認識番号GP4105
(
コハク
)
のリンクを承認
(
アプローチ
)
」
コハク少尉が、オペレーターに呼応する。
「…
確認。
(
コンファーム
)
」
足早に艦橋オペレーターが操舵リンクへの
操舵手順
(
チェックリスト
)
を続ける。
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