ハーメルン
御金様が好きで仕方がない地球防衛軍女性准将が、借金を背負ったので自分を救うために職権乱用の限りを尽くすスペースオペラ
新たな出会い
≪アウラ衛星B15F≫
地上15F。B81F統合管理センターへの道は長い。
「つかれたぁー…。なんで、エレベーター使わないのー?」
「エレベーター壊れちゃってるみたーい。物理的に」
ルナが素直に答える。シャロンは、えー。と駄々っ子みたいに座り込んだ。
先ほどから、螺旋階段をずーっと降りている。
目的の制圧されている総合管理室は階はB81F。現在B15F。
駄々をこね座り込むシャロン准将を見た戦闘型人型ロボットDOLLがルナを降ろし、どこかへ歩いていく。
どこいくのー?ルナもフラフラと、それに付いて行く。
無下にシャロンを置いて行くことも出来ない。困ったな。コハク少尉が思惑している。
そのとき。ガラスを突き破る破壊音が響き渡る。
「頭を下げて!」
コハク少尉がシャロン准将の上に被さり自分を体して守る。同時にシャロンは顔を床にたたきつけた。
ゴヘ…ッ!とシャロンが奇声を上げる。
「ルナちゃん!」
たしか、戦闘型人型ロボットDOLLの向かった先で聞こえた。コハク少尉が叫ぶ。
通路の角から、また、戦闘型人型ロボットDOLLに肩車されたルナが見えた。
「大丈夫だよ!」
ルナがそういうと、戦闘型人型ロボットDOLLが壊した自販機から、腕にいっぱいの缶ジュースを持ってきて、二人の前に放り投げる。
コハク少尉は、よかった。と、ため息をつく。
「少尉…」
コハク少尉の下で、シャロン准将が子羊のようなうめき声をあげる。
「も、申し訳ありません!准将!」
身を挺して守った少尉に対して、文句も言えない。
シャロン准将は、泣きたい気持ちをこらえ、鼻を押さえた。
「ウグぅ…、今度から、戦闘型人型ロボットDOLLに小銭を持たせろ…!」
シャロン准将、涙目をぬぐう。
何はともあれ座り込み、二人でジュースをごちそうになる。
「アウラからプレゼントだって」
ルナが、サイボーグ用の低たんぱく質の牛乳を飲みながらそう答えた。
「アウラって。この衛星の名前じゃないのか?」
「うん。それもあるけど、戦略型のルーンラビットもアウラって呼ぶんだ」
「あ…。アウラが、准将と話したいって」
ルナがそういうと、アウラがルナに憑依した。
アウラは、一呼吸するジト目を開き、大げさなお辞儀をする。
「…准将閣下。お初にお目にかかります。私は広域支援型戦略級ルーンラビットのアウラと申します」
同じルーンラビットでも、性格って、だいぶ、変わるんだな。と、二人は感じた。
「アウラ。状況は?」
「はい。現在、テロリスト3名が直属の上官である大佐を人質に取って立て籠もっております」
「ほう、じゃあ、准将の命令だ、大佐を消せ」
コハク少尉は耳を疑い、シャロン准将の横顔を見た。命令を下す、軍人の顔だった。
「直下の上司には手を出せないようにプログラムされています」
チッ。めんどくさいことになってるな。シャロンは舌打ちをする。
「また、当衛星は軌道を外れ、火星へと下降ルートをとっております」
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