冒険者と出会いと奢りと異名と再会と友情と帰郷と決意
彼女ロキシーとの最初の出会いは、リカリスの街で起こった。そもそもリカリスの街に立ち寄ったのは、リングス海をつくりだした要因の1人である、魔界大帝を一目見たいがためであった。しかし魔界大帝が復活したと言う噂は流れていない。せっかく魔大陸に来たのだから、魔大陸最大の都市であるリカリスへ行ってみたかったと言うのが本音だ。
リカリスの街を見た時は壮観だった。クソ大きなクレーターにクソでかい壁、そして何故か半壊しているクソでかい城だ。スケールの大きさに思わず感嘆の息を漏らした。さすがは魔大陸最大の都市だ。と、そう考えながら関門を通りのらりくらりと目的地へと向かう。向かう先は冒険者ギルドだ。大きな街には必ずあると言う、冒険者ギルド。
ついに登録しようと思い立ったわけだが、魔大陸には結構な時間いるのに全然詳しくない俺が導き出した冒険者ギルドのありそうな街がリカリスという事だった。前述した通り観光の目的もあったわけだが、元々冒険者の知り合いたちに勧められていた登録も一つの目的だ。と、考えているうちに、冒険者ギルドについたのだが、一悶着あるだろう。なぜならば、俺は冒険者の間で有名人だ。
粗雑だが高ランク魔物素材でつくられた服、腰に下げた魔剣、キュートで艶やかな耳と尻尾、背嚢にはみ出る程詰め込んだ魔物素材、大量の魔物と戦った目撃証言、魔王アトーフェラトーフェ・ライバックに認められたという噂、ガスロー地方へ1人で赴き無傷で生還したチビの獣族の男、性別男らしいけど俺はイケるなどの声、しなやかな四肢から繰り出される怪力にギャップ萌え、有名になる要素満載。意味のわからない部分もあるが、概ね敬意と畏怖の念で見られている事違いないだろう。ゲヘヘ。と、それてしまった話を戻す。
そんな有名人の俺が来たとき、ギルド内の視線は釘付けになった。そう俺に。なんと気分がいいのだろうか。鼻息を荒げて大股で受付へと向かい、告げる。
冒険者登録がしたいと。そこからはトントン拍子に進んで、いつの間にやら冒険者カードが自分の手に握られていた。ギルドに居た知り合い冒険者にやっと登録したか。と、背中を叩かれたり喧嘩したりしていると、ふとある4人組が目に入った。
その4人はどうやら仲のいい奴ららしくてギルドに併設されている飲食店で呑む食う叫ぶと騒ぎまくっていた、珍しいことでもないが組み合わせと高すぎるテンションがおかしく感じた。馬面と豚面と青年とジト目ロリ美少女魔術師がバカ騒ぎをしているのだ。不思議に思った俺は、隣の知り合いの1人だけど一方的に話しかけてくるだけで名前も知らないしいつのまにか付き纏ってくる冒険者らしき男に話を聞いた。いろいろと話してくれたが、要約すると彼ら彼女らは今リカリスで新進気鋭の冒険者パーティーリカリス愚連隊で、ランク昇格を機に今日リカリスを旅立つそうだ。その目的は、リーダーのハーケンディールの夢である伝説の冒険者を目指し魔大陸縦断を、町々で冒険者として活動しながら行う事で、このどんちゃん騒ぎは旅の始まりに対する前祝いらしい。そこまで詳しく知っている男に気味の悪さを感じながら一応お礼を言い。リカリス愚連隊についてある事を思う。
俺にもこういう頃があったなと、お前は何を言っているんだと思うかもしれないが、彼らには共感できる。旅立ちへの興奮は得難いものだ。村からの旅立ちに親からの旅立ちを経験した俺には、それがとてもわかる。そんな事を考えていると、彼等と俺の違いが、溝が、わかってしまった。彼らには仲間がいて一緒に旅立つのだ。そしてその興奮や喜びの感情を共有できる仲間がいるのだ。
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