ハーメルン
サイバーだけどパンクでなし―211×―ルームランナーズ
今日のプロフェッショナル
さて、件の電脳体ハッカー連続襲来から数日後。
とり合えず表面上はハッカーによる連続被害を何とか食い止めることには成功していた。
確かにあの日から今まで、連日無数のゴーストやハッカーがこちらの領域へと侵入を試みようとしてきてはいる。
が、幸か不幸か、そいつらは基本数だけ多い雑魚ばかり。
一応はハッキング能力自体は持っているが、それでもその道の一流とは言えない奴らがほとんどであった。
だからこそ私は、ゴーストみたいな完全に人権のないやつらは売り払ったり、中身のあるやつらは身代金やら賠償金、ケジメなどを払ってもらうことにより、最低限の出資で最大限の利益が得れるようなシステムも構築することができた。
災い転じて福となす。
かくして私は無事に、この雑魚ハッカー連続襲来事変を収益へと変換。
コノミの配信と我が家のプライバシーも守りつつ、収益も手に入れる。そんな素晴らしい生活スタイルを確立したのであったとさ。
「でも、このままだと、クソハッカー狩りが忙しくて、まともにギルドの仕事ができないし、何なら配信もできねぇ!!!
どう考えても大損です、本当にありがとうございました!!」
「えぇ……。
それって大丈夫なの?」
場所はチャレンジャーズ・ギルド・カフェ。
そこのとある目立たない席の一角で、私はチアと2人で軽い昼飯を楽しんでいた。
なお、今回は偶然ではなく、呼び出し。私のほうから彼女に食事に誘ったという形である。
「正直あまりよくないな。
ハッカー狩りは、そもそもゴースト加工やゴースト売り、身代金要求だって、仕事とはいえないダーティな儲けだ。
それを恨まれないようにやっているから、証拠隠滅のための費用や時間もかかっている。
単純な時間効率的儲けで言えば……まぁ、いつもの仕事の6分の1くらいの儲けかな?」
「クソじゃない」
「しかも、基本ハッカーがいつ攻めてくるかわかんないから、24時間体制で信頼できる奴に見張りを任せている。
そのせいでお金がさらに溶ける溶ける」
「超クソじゃない」
女の子がクソクソ言うんじゃありません!
しかし、それでも自分の愚痴に付き合ってくれる彼女には感謝しかない。
このこんなしょうもないハッカーや迷惑ゴースト共のせいで、自分の配信もできず、ギルドの仕事もまともにできない。
こんな事態に巻き込まれている身としては、どこかしらに愚痴りたかったのだが、残念なことに今このことを話しても理解してくれる相手は、彼女ぐらいしかいないのだ。
チアちゃんが、理解ある彼女でよかったよぉ……。
まぁ別に付き合ってるわけでも、何でもない関係だが。
「……このままだと、ギルドの仕事ができなくて、大家さんから家から追い出されちゃうかもな~。
貢献度が足りなくて、十三区から追い出されてな~、他地区で働くことになるかもな~」
「……へぇ、それじゃぁ私の家に住む?」
「え」
「あなたならいいわよ?
大丈夫、私の家に空き部屋は多いし、そもそも私はちゃんと持ち家だし。
ああ、コノミちゃんと一緒でも大丈夫よ。
貴方たち主従共々受け入れるだけの度量も収入も持ち合わせているもの。
ほら、何も問題ないでしょ?」
いかん、どうやら藪蛇だったようだ。
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