第010話:真ドラゴンを探して
シグコン・シップの艦橋で、シロウが『わたし』に励ましの言葉をかけてくれる。
「ワンセブン、あんま気にすんな。確かに奴らの命は救えなかったかも知れねえ。けどよ。
だからと言って奴らを戦わせないって言う選択肢は、はっきり言って無えよ。奴らはお前の言う熱い心を、美しい魂を持ってるやつらだった。だけどソレが輝くのは、奴らが身を捨ててでも弱者のために戦うからだぜ」
『……そう、だな。うん、理性では理解しているんだ。すぐに立ち直るさ』
「そうしろ」
うん、『わたし』が落ち込んでいたのは、真ドラゴンへ陸上戦艦バヴェル・タワーが特攻した際に、護衛のイチナナ式搭乗員やタワーの乗組員に、けっこうな犠牲者が出たためだ。無論『わたし』たちの活躍で救えた人も多い。戦闘終了後に救助できた人も多い。
そうだな。いつまでも落ち込んでいては、この先も続く戦いで、救える人を取りこぼす事になりかねない。
と、そこへ竜馬、アムロ大尉、他数名が艦橋へ入室して来る。
「なんだなんだ? ワンセブンの奴は、まだ落ち込んでやがんのか。ほんとにてめえ、ロボットなのかよ? 本気で人間の脳みそがどっかに入ってるんじゃねえのか?」
『竜馬、そういう君も早乙女博士を逃がしてしまった事を引きずっているようだが』
「な、なに言ってやがる。俺は……」
『食堂での食事量が、あるときは30%も減っているし、次の日にはやけ食いとばかりに3倍量を消費している。流石に情緒不安定になっているのを、否定はすまい?』
「ちっ……」
竜馬は椅子に座ると、ロボターモドキの作業ロボットからコーヒーを受け取ってガブ飲みする。熱くないんだろうか。
『まあ、気遣ってくれたのは感謝するよ。余計な突っ込みを入れて、悪かった』
「てめえも、少し情緒不安定なんじゃねえか」
『ふふふ』
「……おそるべき超AIだな。反応があまりに情緒的だ」
そう言ったのは竜馬やアムロ大尉と共に入室してきた男の1人、神隼人だ。かつて旧ゲッターチームで、ゲッター2やゲッターライガーに乗り組んでいた男だ。先日の真ドラゴン攻略戦で、陸上戦艦バヴェル・タワーを指揮していた男でもある。爆発したタワーから、かろうじて脱出に成功したらしい。
そして最後の1人は、車弁慶。かつての旧ゲッターチームの1人でもあり、連邦軍少佐でもある。クジラに乗り組んで真ゲッターチームを指揮していたらしいんだが、真ドラゴン攻略戦において海中に落下した真ゲッターを救助した際に敵の攻撃を受けて、クジラは後方で修理しないと使い物にならなくなったそうだ。
その弁慶が笑って言う。
「いいじゃねえか隼人よ。話が通じやすいってのは、ありがたいこった」
「……」
「ところで隼人、弁慶。2人はこのシグコン・シップに乗り込んで来て、あげくに真ゲッターロボまで持ち込んで、大丈夫なのか? どうしようもない事情があったとは言え、俺は公には脱走兵だし、カミーユとファも表向きはオーガスタ研から行方不明になっている身だ。
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