第011話:世界の大ピンチ
実際のところ、シロー君の負傷は見た目こそ派手に出血していたが、そう重い物ではなかった。ただし負傷の度合とは別個に体力の衰弱が激しく、脱水症状を起こしていたし、あと少し発見が遅れれば危なかったかもしれない。場合によっては公的な身分のある弁慶あたりに頼んで、近くの都市の病院に運び込む事も考えたのだが。
見舞いに来た連中のうち、竜馬が徐に語る。
「こいつがシローか……。俺が知ってるシローは、まだまだちみっちゃいガキだったからなあ。俺が時間を跳び越えちまったっての、実感するよなあ。
ま、そいつぁオッサンになった隼人や弁慶と再会したときにも思った事だったが」
「言ってくれんじゃねえか竜馬。お前はまだ27? 28? そのあたりだったか? ソレでも若い連中からすりゃ、充分にオッサンだぜ」
弁慶がニヤリと笑う。アムロ大尉もまた、今の竜馬よりも1歳ほど上のはずだったな。弁慶の台詞に、彼も苦笑いを浮かべている。隼人は黙して何も語らない。
シロウがちょっとばかり首を傾げながら口を開く。
「そんで、シローとやらは何時ごろ目覚めそうなんでえ? 名前が似てるから、紛らわしいな」
『偶然は仕方ないだろう。そうだな、データによれば何時目覚めてもおかしくない』
「う、ううん……」
『言った矢先に、だな』
計器の表示によれば、シロー君の意識レベルは急速に覚醒状態に移行しつつある。そして彼の眼が開いた。
「あ、え、お、俺は……」
「シロー、大丈夫か?」
「あ、アムロ、さん? あ、れ? 竜……馬さん、は、教えられ、たのでは、早乙女博士の、は、ん、乱で仮釈放されたときに、MIAに……。ゆ、め、か? 夢、か?」
「馬鹿野郎、夢じゃねえよ。俺は帰って来た。全部にケリをつけるために、な」
次の瞬間、シロー君はガバっと起き上がる。その表情は、鬼気迫っていた。
「痛うっ……。く、くそ! 通信装置を、通信装置を貸してくれ! 今回の作戦で本部になってる連邦軍基地に! 報告を!」
「待て、落ち着くんだ。何があった?」
「そんな事言ってるばあいじゃねえんだ、アムロさん! あしゅら男爵とブロッケン伯爵が復活した! 奴らの言い様では、もしかしたらDr.ヘルも! そして鉄也さんが! 剣鉄也さんがグレートマジンガーごと罠にかけられて捕らえられたんだ!」
「「「「「『!?』」」」」」
剣鉄也が、グレートマジンガーごと、あしゅら男爵とブロッケン伯爵に捕らわれた、だって? まずい、これはまずいかも知れない。これは間違いなく、Dr.ヘルがINFINITYをコントロール下に置くための作戦だ。グレートマジンガーと剣鉄也をキーとして……。
シロー君は叫ぶように言う。
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