第004話:アムロ脱走
弾道軌道の頂点、超高高度にシグコン・シップはその艦体を置いていた。宇宙望遠鏡クラスの強力な観測機器で、ある程度目的地であるシャイアン基地の様子は判る。
『……まずいな。既に自称ネオ・ジオン軍のジオン残党と、ザンスカール帝国の派遣した部隊が現地に展開している。ただ、双方に協力体制は無い模様で、互いにけん制し合って実際の作戦行動には移れないでいる模様だ』
「こっちが到着するまで、動かねえでくれるといいんだが」
『そうもいかない様だ』
望遠映像の中で、シャイアン基地とジオン残党軍部隊、ザンスカール帝国部隊が交戦を開始したのが見て取れた。映像を解析した結果では、ジオン残党とザンスカールは双方で協力こそしていないものの、お互いには攻撃せずにシャイアン基地のみと戦う事にした模様。
シャイアン基地の貧弱な防衛設備や基地守備隊では、あれだけ数が居る敵にはとうてい及ぶまい。間に合うか……!?
「なんだ!? 俺の目の迷いか!? 気のせいか、あれはジェダに見えるんだが!?」
『間違いない。ジェダ、だ』
「なんて珍しい機体が……」
ジェダとは、ジェガンのプロトタイプに相当するMSである。コスト問題から正式採用はいったん中止されて現行のジェガンの仕様が採用されたのだが、後に局地戦用MSとして少数生産され一部に配備されたと聞く。
そのジェダはジオン残党のギラ・ドーガやギラ・ズールと、ザンスカールのゲドラフを相手取って、優勢に戦いを進めている。それに勇気づけられて、シャイアン基地守備隊のジェガンも士気を立て直した様だ。
だがやはり多勢に無勢、守備隊ジェガンは1機擱座し、また1機大破し、と数を減らして行く。
『シロウ、シートに深く座ってベルトを締めて、シートを倒してくれ。これより急制動をかける』
「わかった!」
そして『わたし』が操るシグコン・シップは、強化人間であるシロウが耐えられるぎりぎりのGを見計らって急制動をかけた。つまりはそれだけ制動噴射を遅らせたという事だ。
大気圏内最大巡航速度までスピードを落とし、制動噴射を解除する。やがて通常カメラ映像でもシャイアン基地の様子が見えて来た。どうやら残っている味方側MSは2機だけの様だ。1機はさきほどのジェダ。もう1機は……リ・ガズィのMS形態だな。先ほどまでは居なかったが……どこからか味方増援が?
ヒュッケバインNextから、通信が入る。シロウは既に、機体に乗りこんでいる模様だ。
『ワンセブン! カタパルト射出してくれ!』
【少し待て。まず艦砲射撃で進路上を掃除する。その後、射出する。】
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