サクモは大蛇丸より年上設定
ここは里の地下、木々が根を張る場所。
木の葉を照らす光の当たらぬ場所に二人の忍がいた。
「して、大蛇丸よ。うちはトビラの実力は?」
「かなりのものかと。写輪眼がない現時点においても術のセンス、駒の使い方、体術、どれも私に匹敵する……いや、それ以上のものでしょうねぇ」
「そこまでか。やはり根に引き込めなかったのは大きかったな……はたけカカシまでも抱えた理由は?」
「トビラ君の策略にはまってしまいましてねぇ。まあ、カカシも私の基準には適っていましたから」
「目的を忘れるな。うちはトビラにうちは一族と三代目の注目がある以上、我々“根”は表立って奴に近づけん。だからこそ大蛇丸。根の一員であるお前を担当上忍に推薦し、密命を下した。うちはトビラを監視し、然るべき教育を施せと」
ダンゾウが口の端を上げた。
「ヒルゼンもなんだかんだ言ってお前には甘い。現に根の一員であることを分かっていながら、お前にあの子供の担当上忍を任せた」
大蛇丸はいつものように笑みを浮かべたまま聞いていた。
「大蛇丸よ。里のためにもうちはトビラの才能は必要だ。奴を里に尽くす忍に……根として尽くす忍となるよう教え導け。だが……うちはマダラの片鱗を見たら迷わず殺せ」
「才能のある子を殺すのは惜しいわね」
「あの子供は味方であればよいが敵となると厄介だ。殺し時を失うとどこまでも手をこまねくこととなる。貴様の殺し時を失ったヒルゼンのようにな」
大蛇丸は笑みを深めた。
「私と猿飛先生を一緒にしないでちょうだい。私はあの人ほど甘くはないわ」
「こちらとしてもそうあることを願おう。貴様が師のように甘くならぬことをな」
話は終わり、大蛇丸の輪郭がぼけ、そしていなくなった。
地下に残されたのはダンゾウただ一人。
「あの子供がうちはの力に溺れた時、それが奴の最期だ」
その呟きを聞く者は誰もいなかった。
飛び級で卒業したとは言え、トビラとカカシの扱いは下忍のルーキー。
当然、回される仕事も下忍相当のもの。
猫探しを終えた大蛇丸班は報告をするため火影のいるところへ向かっていた。
ちょうど向かいから一人の男が。
「これはこれは、木ノ葉の英雄“白い牙”のサクモさんじゃぁありませんか」
「大蛇丸か。その大仰な呼び方は止めてもらえるとありがたいなぁ……」
「ふふふ……大活躍みたいじゃない。今もどうせ任務の報告か命令を受けて来たのでしょう」
「それが仕事だからね。綱手姫と自来也君は元気か?」
「会ってないわ。戦争で招集でもかからない限り、散り散りよ。自来也のバカは今ごろ小国の孤児に忍術を教えているんでしょうからね」
「孤児に忍術……? ま、まあ彼にしか見えない大局があるのだろうね……」
疑問符を浮かばせ、苦笑するサクモ。
「そうそう、あなたのご子息。私に預けて良かったのかしら……本人は不服みたいだけどね。ふふふ」
「アンタが初日から変なことばっかり言うからでしょ」
大蛇丸の後ろに控えていたカカシが思わず言った。
横で聞いていたトビラは、
――またサクモが変に焦らんと良いが。
と半目になっていたが、サクモは困ったように笑うだけだ。
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/3
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク