ハーメルン
これは二代目火影の卑劣な転生だ
幼馴染、のはらリン

 次の日、トビラはすでに動けてはいたが大事を取って修行は休みにしていた。
 ちょうどオビトも予定があるらしい。
そんな彼を祖母が呼んだ。

「オビトや、リンちゃんが迎えに来たぞよ」
「トビラ、俺、これからリンと忍術大会を見に行くんだけどお前も来ねーか? 具合はもういいんだろ?」
「忍術大会?」
「おう! 気分転換にはちょうどいいだろ。それになんと言ったって俺も出るんだ!」
「ほぉ……そういうことはもっと早く言ってほしかったな」
「うぐっ……! で、どうなんだよ! 来るのか?」
「せっかくだし行くとするか」
「オビトー?」
「あ、リン! ごめん、すぐ行く! ほらトビラ! 急げ!」

 バタバタと玄関へ出て来た双子にリンが声をかけた。

「あれ? オビトの弟のトビラだよね! あなたも今日は一緒?」
「ああ。のはらリンだったな。兄さんがいつも世話になっている」
「よろしくね! さ、オビト! もう始まっちゃうよ! 行こっ!」

 リンを先頭に向かった先は広めの公園。
 “少年忍術大会”ののぼりが立っている。
 テントの下には優勝者がもらえる賞品が並べられ、オビトとリンは目を輝かせた。

「おお~! これが賞品のクナイかぁ!」
「かっこいいね!」

――無駄に光って実用性に乏しいクナイだ。観賞用のおもちゃだな。しかしなるほど、忍術を披露して点を競い合う催しか。戦争以外に術を使うとは、戦乱の世には思いつかない発想だ。休戦したことで民衆にも余裕が出始めているのか。

 呆れと感嘆の混じった表情で忍術大会の様子を眺めるトビラにオビトが声をかけた。

「あの面子なら俺の優勝も間違いなしだぜ! トビラ、リン! 見てろよ! 俺がカッコよくあのクナイをもらってくっから!」
「頑張って! オビト!」

――優勝か……今のオビトには難しいだろうな。

 感知タイプのトビラは気づいていた。

「優勝は、はたけカカシ君!」

 大会にはカカシも参加していたことを。

「カカシ! お前も参加してたなら言えよ!」
「聞かれなかったし、というか言う暇無かったし」
「オビト、知っている子なの?」

 見事な“土遁・土波の術”を披露し、優勝をかっさらったカカシにオビトが食って掛かるとリンが尋ねた。

「ん? ああ、そうそう。前にトビラと一緒に修行しているときに会ってさ。ちょっと俺が組手でひねりつぶしてやったんだぜ!」
「ひねりつぶしたのはこっちだから。なんでアンタは出なかったの? 忍術大会」

 カカシはトビラに尋ねたが、オビトが返事した。

「トビラの奴、昨日、豪火球の術を使って倒れちまってさ」
「トビラもあの術使えるの? すごいね! でも倒れたって何かあったの?」
「チャクラコントロールを誤って枯渇するまで使いすぎただけだ」
「それ、普通に命の危機でしょ」

 カカシのツッコミにリンが心配そうな顔をし、オビトもその時のことを思い出したのか顔を曇らせた。
 けどトビラは素知らぬ顔のまま。

「確かにそのせいで、兄さんには大泣きさせるほど心配かけた。しばらく注意することにしよう」
「なっ! トビラ! おまっ! リンの前で泣いたとか言うなよ!」

[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/3

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析