こんな6歳児がいてたまるか
トビラたちのアカデミー生活は和やかに進んでいた。
表向きは。
――今日の監視は3人……増えたな。
手裏剣術の授業中、全射的中させながらトビラはため息を吐いた。
――見ているのは俺とカカシ、そして兄さんか。暗部が監視対象に悟られてどうする。
暗部の質が少し心配になったトビラではあったが、カカシとオビトは監視されているなんて気づいていない。
扉間時代より劣っているものの、十分に感知スキルはずば抜けているのだから酷な心配だった。
ちなみにオビトはリンの応援に気を取られ、逸らした手裏剣を先生のスレスレに飛ばしてしまい叱られていた。
アカデミーの授業は座学、実技がバランスよく用意されている。
座学は里の歴史や隊列の組み方、五大性質について、実技は性質に限らず使える忍術について。
「次、うちはオビト!」
緊張した面持ちで前に出て印を組んだオビトではあったが、すぐに教室には笑いが溢れた。
良くない笑いだ。
「クソーっ! 今日はちょっと調子が悪かっただけだし……」
「術の発動自体はできているが、練ったチャクラを無駄に放出しすぎだ。チャクラを練る際にもっと集中すれば安定した術を使える。思い描いたようにチャクラを練り、放出するのはすべての基本だ。これができれば豪火球の炎の大きさもさらに大きくできる」
「はぁ……また集中かよ……」
「でもオビト! それができたらもっと大きい炎が出せるなんてすごいよ! 頑張って!」
「リン! お、おうよ! そしたらトビラの豪火球よりももっともっとデカいの出してやるぜ!」
クラス中に馬鹿にされ、弟には理詰めでなっていないところを説明されて落ち込んでいたオビトだったが、リンの励ましで一気に回復した。
もっとも、トビラもリンが近くの席にいることを見越して言ったのだが。
――チャクラコントロールというのはそう簡単に出来るものではない。むしろ、この年でできる人間は稀だろう。
トビラは分身の術を成功させたカカシを見た。
――カカシは間違いなく天才の部類に入っている。天才が一人いるだけで周りは触発される。この世代は伸びるぞ。
カカシを熱心に見るオビト、ガイを確認してトビラは満足げに頷いた。
アカデミーに入学してから早いもので1カ月が過ぎた。
そのころから、ある名物が追加された。
「カカシ! 熱き青春の勝負をしようじゃないかぁああ!」
ナイスガイポーズと共にカカシに勝負を挑むガイ。
「またかよ。はぁ……さっさと終わらせるよ。今日は何」
「今日は手裏剣勝負だ! 俺がお前に負けたら逆立ちで校庭を500周する!」
「はいはい」
――カカシも面倒くさがりながらも相手してあげる辺り、心根の良さが出ているな。そういうところはサクモに似ているようだ。
そんなライバル二人を睨むのが兄、オビト。
「ガイの奴……いまだに俺のこと覚えねーし、トビラって呼ぶし……ほんと失礼な奴だぜ」
「他のことで頭がいっぱいなのだろう。俺も初めは顔も名前も覚えられていなかった。気にするな」
「ったく。アイツくらいだぜ。俺らの見分けがついてねーの」
――兄さんの存在を認識していないから、この顔が一人だと思っているんじゃないか。
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