大根役者の見せ場
スポット占有について一度整理してみよう。
スポット占有にはリーダーのみが使えるキーカードが必要となる。
検証してみたが、リーダー以外がカードを持って占有するための機械(以降占有機)にタッチしても反応はなかった。
また、スポットを占有すると占有機には、占有クラスと8時間のカウントダウンが表示されるため、いつどのクラスが占有したかは一目瞭然となる。
よって、リーダーのフリをしてタッチしても表示を見られたらすぐにバレるということ。
ちなみに占有中の占有機に他のキーカードをタッチしても何も反応がないことも確認できている。
これらのことを踏まえ、スポットを占有する瞬間は他クラスに見られてはいけないということが大前提となる。
逆に言えば、その大前提を覆すことができれば、スポットは占有し放題ということだ。
ここがこの『スポット殲滅作戦』の肝と言える。
2日目の偵察の帰り道。
オレは一之瀬に作戦の説明を始めた。
明日B&D連合チームに発表するのは一之瀬の仕事だ。
しっかり理解してもらう必要がある。
「うーん、そんな方法なんてあるのかな?全然思いつかないよ」
「ヒントはペナルティのルールだな」
「何か使えそうなルールあったかな……」
「今回は『環境を汚染する行為の禁止』と『他クラスへの暴力、略奪、器物破損の禁止』を活用する。そこで、必要なものをリストアップしておいた。すまないが、明日の決行までに一之瀬の方で手配をお願いしたい」
「それは構わないけど、これでどうにかなるイメージがわかないなぁ」
「一之瀬に想像できないなら、Aクラスも苦戦するってことだ」
「にゃはは~、嬉しいような嬉しくないような言葉だね」
「これでサクッと攻略されたら、その時は諦めてくれ」
「急に弱気に!?いや絶対破られないってことかな」
「それはやってみてからのお楽しみってやつだな。それでこれらを――する」
「んんん?そんなのってありなの?」
「ルール上、問題ない。肝心なのは主張を押し通すことだな」
「これは……ちょっと葛城君たち気の毒かも」
そう言いながらもちょっとワクワクしてないか。
一之瀬が見せた珍しい表情――小悪魔っぽい笑みに、少しだけドキッとさせられた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
3日目昼過ぎ。
「葛城さん、BとDのヤツら何かしてくるつもりなんでしょうか」
「大体の見当はついている。弥彦、Dクラスはなぜポイント使いきったかわかるか?」
「いえ、さっぱりです。アイツらただのバカなんじゃないですか?」
「Dクラス単体ならその可能性もあったが、今回はBクラスが先導している。そこには必ず意味があるはずだ。今、Dクラスの生徒は点呼の減点がない状態にあるのはわかるだろう」
「引かれるポイントがないですからね。でもそれがどうしたんです?」
「極端なことを言えば24時間、スポットの見張りができるようになったということだ」
「……それってかなりマズいんじゃないですか?」
「だが、見張れるだけだ。スポットを占有したいのであればキーカードを使う必要がある。そして0ポイントのヤツらは何が何でもリーダー情報を当てられるわけにはいかない」
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