第7話 バカ野郎、俺は逃げるぞ!
子供にとって家とは何だろうか?
雨風を凌ぐ場所、安心できる居場所、疲れを癒す為の寝床、衣食住の住を満たす為の道具、大切な人と一緒に居れる場所、引き籠る為の場所などなど。
各人によって考えは様々だろう。
俺にとっての家とは、大切な友人達と過ごす為の場所だと言える。
真希ちゃんに、真依ちゃん、直毘人のお爺ちゃんと、イッチに、先生、そんで理子さん。
後は、そこそこ親しかった給仕のみなさん。
そんな人達とアホみたいな事を気楽に出来る。
それが俺にとっての家だった。
ここを追い出されるというのは、そんな大切な友人達を離れ離れになるのと同義な訳で、それはそれで結構精神的に辛くなるのも仕方ない事だと思うのだ。
それに俺の今世の両親はとっくの昔に亡くなっているのだ。
尚更誰かと一緒に居たかったというのも多少はあったのかもしれない。
いや、なかったかもしれん。
まあ、俺にとってはそんな感じの実家な訳だけど、真希ちゃんと真依ちゃんの2人にとっては、自分達を害する敵っていうのが近いと思うのだ。
だって多分だけど、俺が友達にならずに放って置いたら、2人とも絶対虐められてたし。
なんなら、子供産む為の母体として、そういう事されまくってたり、外から優秀な血を取り入れる為の道具にされてた可能性もあったと思う。
え?普通の家がそんな事する訳ないだろ、だって?
普通の家じゃないから困ってんの!
こちとら天下の禪院家ぞ!?
強力な術式大好きなお家且つ、その才能を手に入れる為なら、謀略、策略、誘惑、はたまた身内婚まで、色々やっちゃう倫理観的にアウトな一族なんだぞ!?
そんな奴らが、落ちこぼれ扱いしてる姉妹をまともに扱う訳ないんですよね。
古事記にもそう書いてある。
てな訳で、2人と仲の良い俺があえて悪目立ちしまくる事でクソみたいな奴らが絡んで来ない様に、2人を陰ながら守っていた訳なのだが、ここで問題が発生してまった。
そう、俺が禪院家を追放になってしまったのだ!
いや、なんでやねん!
俺スカウト貰っただけですやーん。
別に禪院家の相伝術式の情報とか、秘伝とか漏らしてないですやん。
クソッ、NAOYA☆の野郎!
お前絶対俺に嫌がらせしたかっただけやん。
まあ、もう終わった事だからええけどさぁ。
……さて。
俺は別に高専に保護して貰えるし、最悪母方の実家も頼れるので、禪院家追放とか同じ漫画を間違えて2冊買っちゃったくらいの問題なのだ。
結構大きめのショック受ける問題やったわ。
まあでも、俺自身にはこれと言った害は無いから別に良いのだ。
問題は双子ちゃん達の方なんだよなぁ……。
「さて、龍人よ。あの場ではああ言って悪かったな。当主として、皆の前でボロを出す訳にはいかなかったのだ。それだけはどうか理解してくれ」
「おん」
俺が居なくなっちゃったら、俺と仲の良かった2人はまず間違いなく不当な扱いを受ける事になる筈だ。
それだけはなんとかして防ぎたいんだけどなぁ……。
この家にはあの煽り厨クソ野郎が居るからなぁ。
まあ、まず間違いなく2人は襲われるだろう。
色んな意味で。
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